第70回ヴェネチア国際映画祭に特別招待作品として出品されている『許されざる者』が、現地時間の9月6日夜10時から公式上映され、上映後に約10分間に渡るスタンディング・オベーションが起こると、主演の渡辺謙が目を潤ませる場面が見られた。
同作は、クリント・イーストウッドが監督・主演し、第65回アカデミー賞で最優秀作品賞をはじめ4部門に輝いた同名映画を、舞台を北海道に移してリメイクした話題作。
この日の上映ではエンドクレジットが流れ始めると、スタンディング・オベーションと拍手が沸き起こった。そうしたなか、感無量の様子で立ち上がったキャスト陣。目を潤ませた渡辺謙は、思わず李相日監督の手を取り、2人で高く手を掲げて観客の熱い拍手に応えていた。
公式上映前には記者会見も開かれ、『硫黄島からの手紙』以来、イーストウッドと親交を持つ渡辺は映画化の経緯を聞かれ「映画会社から連絡を入れる以前に、まず僕から(イーストウッドのプロダクションである)エルパソにメールをして、リメイクの話があるがどう思うかと尋ねました。そうしたらとても寛大に『やってみてはどうか』という返事をもらった。その後はこちらから直接コンタクトを取ることはなかったですが、彼自身も自分が関わると作品に影響をすると思ったのか、自由にやらせてくれました」と答えた。
また、一夜明けた9月7日に行われた囲み取材で上映について改めて聞かれた渡辺は「観客に届いた喜びと、逆に自分自身が映画にひきずり込まれて恥ずかしかった」と語り、柄本明は「映画ってすごいなと思った」とコメント。『誰も知らない』で当時14歳で男優賞を史上最年少受賞したカンヌ映画祭以来の映画祭参加となった柳楽優弥は、「(あのときは子どもだったのであまり覚えていないが)今回は完全に記憶に残りました。あとスタンディングオベーションが長くて興奮しました」と話し、李監督は「(一夜明けて)何か夢から覚めた感じです」と語っていた。
『許されざる者』は9月13日より新宿ピカデリーほかにて全国公開となる。
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