6年間育てた息子は、病院で取り違えられた他人の子どもだった──。そんなショッキングなテーマを映画にした『そして父になる』のジャパンプレミアが9月17日に東京国際フォーラムで行われ、主演の福山雅治をはじめ、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキーと、子役の二宮慶多、黄升げん(ふぁん・しょうげん)、是枝裕和監督が登壇した。
本作は今年5月に開催されたカンヌ国際映画祭で審査員賞に輝いた話題作。そこで男泣きしたことを改めて聞かれた福山は「本当に感動的だった。ただそれは、僕自身が『俺やったぜ』みたいなことではなく、是枝監督がずっと、この映画のためにかけてきた労力や時間みたいなものが報われた瞬間に対して。会場のみなさんが監督を見て『ブラボー!』『ブラボー!』と仰っていたので、その光景に感動し、改めて『監督、おめでとうございます』という気持ちになりました」と説明。
一方、是枝監督は映画祭での受賞から4ヵ月経って公開となることに「正直言うと、映画祭のすぐ後に公開した方がいいっていう気持ちもあった」と本音を吐露。ただ、その間、宣伝キャンペーンで国内外をまわって、この映画がどういう風に見る方の心に届くのかを実感してきたそうで、この日のジャパンプレミアについて「再度、この映画が多くの人に知ってもらえる、そんないい出発点になれば」と語っていた。
その是枝監督は、司会から福山演じる主人公の野々宮良多をイヤな人として演出したことを聞かれると、自分が答える前に福山が「いや、割とそのままで」と素の自分に近いキャラであることを告白。そんな福山のフォローを受け、是枝監督も「イヤなところは僕のイヤなところをだいぶ重ねさせていただきました」と自身が反面教師であることを強調。その上で「最初にお会いしたときに非常に格好良く美しいので、そのまま撮ってもアレなので、こういう人いるなって感じのリアルなエリートをどういう風に作り上げるか、福山さんと相談をしながら、みんながもう見たくないなと思う、ちょっと手前くらいのイヤな人を演じてもらいました」と明かした。
また本作では、尾野と福山、真木とリリーが夫婦役を演じている。それぞれ“親”を演じた感想については、独身の尾野は「とても難しかったですね。親ではないので、親の気持ちもわからないまま芝居をやらせていただいて」と役作りの難しさを語った上で「とにかく現場に入って、福山さんとか子どもたちとか、いろんな人たちの力を借りて芝居に挑みました」とコメント。
3人の子持ちという設定の母を演じた真木は「うちは升げん以外にあと2人子どもがいたので、撮影現場には子どもの世話をしに行ってた感じ(笑)。それくらい楽しい現場でした」と振り返り、お父さんぶりが自然だと監督からも絶賛されたというリリーは「ビッグダディを毎回ビデオに録っておいたかいがあった」とつぶやき会場を沸かした。
さらに、福山と共演した感想を求められた尾野は「ファンの人が大勢いらっしゃると思いますが、私もファンでございまして」と告白。「もうちょっと若かりし頃から大好きでございまして、まさかこういう映画で一緒になれるとは思ってもみませんでした」と緊張した面持ち。
そんな尾野に福山は「なんか今日、尾野さん、声が上ずってる」と声をかけ、それゆえに、さらに声を上ずらせてしまった尾野が「久しぶりの再会なのでね、ちょっと緊張しておりまして……」と返事をすると、リリーからは「カタコトになってる」と突っ込まれていた。
『そして父になる』は9月24日から27日まで全国先行公開。9月28日より新宿ピカデリーほかにて全国公開となる。
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