レオス・カラックス「僕には撮れない」と監督辞退! その理由は…

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『アネット』
(C)2020 CG Cinéma International / Théo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinéma / UGC Images / DETAiLFILM / Eurospace / Scope Pictures / Wrong men / Rtbf (Télévisions belge) / Piano

カンヌ国際映画祭のオープニングを飾り、監督賞を受賞したレオス・カラックス監督の最新作『アネット』が、41日より全国公開。ムビコレでは、カラックス監督のインタビューを掲載中だ。

・『アネット』レオス・カラックス監督インタビュー

ポップバンド・スパークス原案ミュージカル、その内容が衝撃すぎた!?

ロサンゼルス。攻撃的なユーモアセンスをもったスタンダップ・コメディアンのヘンリーと、国際的に有名なオペラ歌手のアン。“美女と野人”とはやされるほどにかけ離れた2人が恋に落ち、世間から注目されるようになる。だが、2人の間にミステリアスで非凡な才能をもったアネットが生まれたことで、彼らの人生は狂い始める。

アダム・ドライバーとマリオン・コティヤールを主演に迎え、カラックスが初めて全編英語でミュージカルに挑んだ本作。ロン&ラッセル・メイル兄弟によるポップ・バンド、スパークスの原案をもとに、劇中全編を歌で語り、全ての歌はライブ録音で録っている。

原案と音楽を手掛けるスパークスから曲を聞かされて、すぐに気に入ったものの最初は「僕には撮れない」と断ったと言うカラックス監督。「個人的な心配があったからね。僕には幼い娘がいて、その時はまだ9歳だった。メイル兄弟が僕の人生について何一つ知らないにしても(と思うんだけど)、このあらすじは娘を動揺させかねないものだった」。

娘のことを心配し、映画作りを躊躇したカラックス監督だが、何度も聞いているうちに楽曲を気に入ったのは娘の方だった。「それで説明してみたら、娘がもう多くのことを理解できていることに気がついた。だったら映画が完成する頃には(完成するとすれば)、きっとこの作品が生まれる経緯を理解できるだろうと思ってね。だから『イエス』と言ったんだ」とカラックス監督。

カラックス監督が本作を作るためには、全ての曲を“把握する”必要があったという。「特に映画全体をミュージカルにしようとしていたから、それが心配だった。普通ミュージカルは1020曲の歌があって、たいていその半分は退屈だよ。でも僕らには40曲必要だった」。

手探りで始まったミュージカル映画の制作だったが、「スパークスとの作業は奇跡的なまでにシンプルだった」とカラックス監督。「彼らはとても独創的で、謙虚で、早くて、そのうえ独特のメロディーとリズムのセンス、メランコリーと歓びがある。彼らの音楽を長く聴いていたから、数十年ぶりに子ども時代の家に帰った気分だった」とスパークスとの仕事が非常にスムーズだったことを語った。カラックス監督ならではの映像美とスパークスの音楽との融合で、どんなダークファンタジー・ロック・オペラが見られるのか期待だ。

インタビューではほかにも、映画の舞台であるLAでの撮影についてや、カメラマンのキャロリーヌ・シャンプティエと、編集のネリー・ケティエとの仕事についても話している。レオス・カラックス監督のインタビュー全文はこちらから!