ジュリアン・ムーアが、共演者の伊勢谷友介と木村佳乃を絶賛!
謎の伝染病によって人々が次々と失明していく中で繰り広げられる壮絶なドラマを描いた映画『ブラインドネス』(11月22日公開)。ノーベル文学賞に輝くジョゼ・サラマーゴの小説を、『シティ・オブ・ゴッド』(02)の鬼才フェルナンド・メイレレス監督が映画化した作品だ。20日、現在開催中の東京国際映画祭の特別招待作品でもある本作の記者会見が、東京・六本木ヒルズで行われ、主演のジュリアン・ムーア、メイレレス監督、キャストの伊勢谷友介と木村佳乃、脚本家のドン・マッケラー、プロデューサーのニヴ・フィッチマンと酒井園子が質疑応答を行った。
まずは初来日というジュリアン・ムーアが、「大好きな日本に来られて幸せ、とても興奮しています。誇りにしているこの映画をみなさんにお伝えできてとてもハッピーです」と挨拶。続けて、5回目の来日というメイレレス監督が「映画祭に招いていただいて光栄です」と喜びを語った。
オーディションで選ばれ、最初に目が見えなくなる患者第1号を演じた伊勢谷は、緊張した面もちで、「とても大切なテーマを持つ映画なので、見ていただけたら嬉しいです。見たら、いろいろと感想を聞かせてください」とコメント。木村も「女性としても、女優としても、この素晴らしい作品に出会えたことをとても光栄に思っています」と笑顔で語った。
大の日本びいきで50回以上来日しているというニヴ・フィッチマンは、「(監督がブラジル人で、キャストも日本、アメリカ、メキシコなどと多彩な)国際的なメンバーが作った映画。(酒井)園子がいなければ、この映画は出来上がっていなかった。感謝しています」と、隣に座るプロデューサーで、初期から関わった酒井への感謝を語った。その酒井はかなり緊張しながらも、「言葉や国境を越えて素晴らしい映画が作れ、本当に幸せ」と喜びを語った。
ジュリアン・ムーア以外の全員が失明するという物語のため、撮影前に、目が見えない演技のためのワークショップが行われたという。「エキストラがたくさん出ているので、彼らがリアルに見えるように“ブラインド・キャンプ”でトレーニングを行いました。ゾンビが出ているような映像にしたくなかったからね(笑)。目隠しをして鬼ごっこをしたりしたのですが、とても効果的だったので、メインキャストの人たちにも体験してもらいました」と監督。その感想について木村は、「舞台のワークショップは何度か経験しているのですが、映画は初めてでした。2、3週間、アイマスクをしてエクササイズしたのですが、とにかく恐怖を感じました。ちょっと歩けば足や頭を打ってしまうので……。私の役は、目が見えなくなったことで鬱状態に陥るような役なので、あの体験は役を演じるにあたりとても役立ちました」と話していた。
『ハンニバル』(01)『めぐりあう時間たち』(02)などに出演している演技派ジュリアン・ムーアと仕事をした感想を聞かれた監督は、「ジュリアンを演出するのは世界で一番簡単。ほとんど何もしなくていいんですから! 彼女が思った通りにやってもらえばよかった」と話していた。それを横で聞いていたジュリアン。監督を高く評価し、一緒の仕事を待ち望んでいたという彼女は、「ちょっといい?」とすかさずマイクを手に取り、「フェルナンドは自己評価が低すぎる! 彼はとても思いやりがあって、役者を本当に見ている監督。繊細な目で見つめ、内面に秘めている微妙で本質的なものをしっかりとつかみ取ってくれます」と、その才能を絶賛していた。
原作者のジョゼ・サラマーゴは、あらゆる映画化の話を断り続けた末、ようやく本作でOKを出したという。才能溢れる作家の傑作を映画化することについてのプレッシャーがあったかと聞かれた監督は、「とても大きなプレッシャーがありました。サラマーゴは、ポルトガル語を使う作家としては世界で一番大切な人ですから、この映画の契約書にサインした後、後悔しましたよ(笑)。自分には、この企画は大きすぎるのではと思ったんです」と答えていた。
この世界的な傑作に、患者第1号とその妻という重要な役どころで出演した伊勢谷と木村。彼らと共演した感想を聞かれたジュリアン・ムーアは、「2人はモデルのように美しく、素晴らしい俳優。異常な程に才能があります」と誉めちぎった。そして、患者として最初に隔離された男と後から発病した妻が再会するシーンを2人が演じた時のエピソードを披露した。「彼らは、いきなり撮影初日にその難しいシーンを演じなければならなかったんです。けれど、現場にいた俳優たち全員が泣き崩れるほどの演技を見せてくれました。みんな、すばらしい俳優だと言い合っていましたよ」。さらに、脚本のドン・マッケラーが2人の素晴らしさを補足した。「私は日本語が書けないので、日本語の部分は2人に考えて書いてもらったんです。この2人がいなければ、あの脚本は完成しなかった。2人を脚本家としてクレジットしてもいいくらい!」。
質疑応答の後、芝田山親方が“大ヒット祈願特大まんじゅう”を持って駆けつけた。両手にあまるほどの大きなおまんじゅうをプレゼントされたジュリアンは、「甘いものが大好きなので、とっても嬉しい」と大喜び。その後、親方のかけ声で鏡割りも行い、ヒット祈願は充分できたようだ。
(写真上段:特大まんじゅうをプレゼントされ大喜びするジュリアン・ムーア〈左〉と芝田山親方〈右〉/中段:鏡割りをするジュリアン〈左〉、芝田山親方〈中〉、フェルナンド・メイレレス監督〈右〉/下段:左から木村佳乃、ジュリアン、伊勢谷友介、メイレレス監督)
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『ブラインドネス』舞台挨拶(8月14日)動画
『ブラインドネス』(2008年11月22日公開)公式サイト
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