2008年も余すところ、あとわずか。そこでムビコレ編集部では、ヒットの数字や業界の流れを踏まえつつ、今年の映画界10大ニュースを選んでみました。その【後編】となる今回は、第5位〜第1位を発表します(前編はこちら)。
【第5位】……ハリウッドでは女優のベビーブーム
今年はハリウッドのトップ女優たちの出産が相次いだ年でもありました。2月にジェニファー・ロペスが男女の双子を出産。6月にジェシカ・アルバが、7月にはニコール・キッドマンが相次いで女の子を出産。ニコールは41歳での初産で、アラフォー女性も大いに勇気づけられたはず。
また、7月にはアンジェリーナ・ジョリーもブラピとの間の子どもを出産。アンジーの子どもはジェニファー・ロペスと同様、男女の双子で、写真の出版権をめぐりゴシップ誌が争奪戦を繰り広げたりもしました。結果は、アメリカではピープル誌が、イギリスではハロー!誌が推定1400万ドルで権利を共同獲得し、その掲載料はチャリティーに寄付されたそうです。さらに12月にはニコール・キッドマンの親友でもあるナオミ・ワッツが男の子を出産。その他、『近距離恋愛』のミシェル・モナハンも女児を出産し、人気ドラマ『エイリアス』のジェニファー・ガーナーは12月が予定日。
ジョディ・フォスターやアンジー、グウィネス・パルトロウなど、ママになっても輝き続ける女優が増えてきたことが、出産ブームを加速させている一因のようです。
【第4位】……『レッドクリフ』がアジア映画新記録を樹立!
11月1日に全国545スクリーンで公開となった『レッドクリフ Part I』が、観客動員数365万人、興収44億8000万円(12/18付)で、今なお数字を伸ばす大ヒット。チャン・イーモウ監督作『HERO』が持っていた、日本で公開されたアジア映画の興収記録(約40億円)を抜き、歴代1位に躍り出ました。
『レッドクリフ』は滑り出しから絶好調で、11月中は他を寄せ付けず、5週連続1位をキープしました。今年日本で公開された全洋画のランキングでも、『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』の約57億円に次ぐ第2位に。最終興収も50億円を超える勢いです。この映画はまた、出資もし、配給も手がけるエイベックスの創立20周年記念映画として、カンヌ映画祭のパーティーを皮切りに、大々的なプロモーションが展開されたことでも話題になりました。
なお、後編となる『レッドクリフ Part II』は09年4月10日より公開予定。こちらも数字を伸ばしてくることは確実で、2年連続で興収ランキングを賑わせそうな気配です。
【第3位】……『花より男子ファイナル』が実写映画NO.1ヒット!
今年、日本で公開された実写映画でNO.1ヒットとなったのが、6月28日公開の『花より男子ファイナル』です。TBSの人気ドラマの劇場版で、同局の映画としても興収85億円を記録した『世界の中心で、愛をさけぶ』(04年)に次ぐ成績。観客動員数ではセカチューを上回るそうです。さらに『花男F』は、12月19日に発売となったDVDでも、初回40万枚という、08年の邦画実写NO.1を記録。2冠を達成しました。
さて、そのTBSですが、来年は、『花男』と同じ、同局の人気ドラマ『ROOKIES』の劇場版公開も控えています。『ROOKIES』はドラマのDVDの売上も、『花男』以上だったとか。09年の実写映画ランキングでは、おそらくトップ争いを繰り広げていることでしょう。
【第2位】……3D映画がスマッシュヒットで、ブレイク目前!
10月25日に公開となった、3Dによる初の長編実写映画『センター・オブ・ジ・アース』。この作品のスマッシュヒットで、3D映画の時代がいよいよ幕を開けそうです。
3D映画といえば、子どもの頃に見たチャチな「赤青メガネ」を思い出す方も多いでしょう。1度試してみた方ならおわかりだと思いますが、原理的には同じものの、デジタル技術の進歩により、現在の3Dは長時間見ていても違和感を覚えず、画面もずっとキレイに見えるのが特徴です。
第2位にランクインした理由は2つあります。1つは、この3Dが、劇場に足を運んで頂く起爆剤になるでは、という意味での注目度。『センター・オブ・ジ・アース』は107スクリーンのうち約半分が3D上映、残り半分がフィルムによる通常の2D上映だったのですが、フタを開けてみれば、3Dの方が2Dの約4倍の成績を挙げていたそうです。
もう1つは、ジェームズ・キャメロン、スティーブン・スピルバーグ、ロバート・ゼメキス、ティム・バートンといったハリウッドのトップクリエイターたちが、こぞって3D映画を制作に乗り出している点。その1部が09年から公開されます。そういう意味では、来年は「3D元年」、ことしは「0年」といったイメージでしょうか。
【第1位】……東宝配給作品、年間興収新記録を早々と樹立
栄えある第1位に輝いたのは、東宝の配給作品が今年9月末時点で、過去最高だった07年の興収595億円を超える600億円に達し、早々に新記録を樹立したというニュースです。その後も順調に興収を伸ばし、11月末までに700億円を突破。12月末までに740〜750億円を見込むと発表されました。
映画は、年間およそ2000億円市場と言われる産業です。仮に東宝の最終興収が年間750億円だとすれば、シェアは実に37.5%にものぼります。ほかにも国内大手の、松竹、東映、角川映画。米国のメジャースタジオ系である、ワーナー・ブラザース、ディズニー、20世紀フォックス、パラマウント、ソニー・ピクチャーズといった会社があることを考えると、このシェアは驚異的な数字。
さらに驚異的なのが、邦画の年間興収ベスト10中、5位の『相棒〜劇場版〜』(配給:東映)、10位の『おくりびと』(配給:松竹)を除く8作品が、すべて東宝の配給作品である点。東宝の強さが光った1年だったと言えるでしょう。
以上、【前・後編】に渡ってお届けした2008年の10大ニュースでした。来る09年は映画界にとって、どんな年になるのか? それはまた、追って、編集部の予測としてレポートさせていただきたいと思います。
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