永遠の反逆児アレックス・コックス監督が5年ぶりに手がけた『サーチャーズ 2.0』。今週末の10日から全国順次公開となるこの作品は、名匠ジョン・フォードの『捜索者』や、クリント・イーストウッド主演の『続・夕陽のガンマン』をモチーフにしながらも、アメリカ社会やハリウッドの映画産業を痛烈に批判する痛快復讐劇だ。
主人公は、日雇い仕事で生計を立てるブルーカラーの中年男。昔、映画で子役をしていた彼が、子どもの頃の自分たちを虐待した“伝説の脚本家”への復讐を誓い、仲間と共にアリゾナヘと旅立つ──というストーリーで、“復讐”というおどろおどろしい言葉とは裏腹に、なんとも滑稽で間の抜けた凸凹トリオの珍道中が描かれていく。アレックス・コックス監督曰く、「これは、復讐の滑稽さを描いた映画」。シェークスピアの時代に描かれた復讐の物語で訴えられていたのは“復讐の無意味さ”だったが、「最近のアメリカ映画では“復讐はOK”という風に逆転してしまった」と嘆く監督の、熱いメッセージが込められているのだ。
イギリス出身で、現在はアメリカに暮らすも、「僕はヨーロッパの社会主義者」という監督は、インディーズの鬼才とも言われる存在だが、出世作『シド・アンド・ナンシー』の成功により、ハリウッドのメインストリームに乗っていた時期もある。だが、反米的な『ウォーカー』を監督するなどして、次第に独自路線を歩くようになったのだが、新作『サーチャーズ 2.0』には、ハリウッドへの問題点がコミカルに描き出されている。その問題点について、監督はこう語る。「ハリウッドの映画産業の最大の問題点はお金の無駄遣い。前に、たった2人の出るちょっとしたシーンを撮影しようとしたら、製作側は、トレーラーを50台も用意し、警察隊の交通規制まで行ったんです。そんなに大げさなことは必要ないのに……。しかも、それらにかかるお金を、“くれる”わけではなく、貸し付けるので、自動的に借金を背負うことになってしまう。そうやってメジャーがどんどん巨大化するシステムが一番いけないと思います」。
いい映画を作るためには貧乏でなければならない、そして、貧乏でなければ正直でいられないと語る監督。アメリカがバブルにわいていた頃、ウォール街のお金は映画にも投資されていたが、「映画にお金を投じられなくなっている今こそ、我々フィルムメーカーサイドから“待った”をかけ、やり方を変えるチャンス」だと話していた。
『サーチャーズ 2.0』は、1月10日より渋谷アップリンクX、吉祥寺バウスシアター、横浜シネマジャック&ベティほかにて全国順次公開される。
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