3月20日から全国公開される『ワルキューレ』に主演したトム・クルーズが、10日午後、六本木のホテルで記者会見を行った。
『M:i:III』以来、3年ぶりの来日となるトム。8日に妻のケイティ・ホームズ、娘のスリちゃんと3人で日本に到着したが、9日はオフで「大好きなお寿司を食べ、スリと一緒に日比谷公園に行きました」とのこと。4月に3歳となる愛娘スリちゃんは、公園の中を走り回り、アヒルや鯉を見たり、日本人の子どもたちと一緒に遊んだりして、パパとの休日を楽しんだという。夜にはトムは、WBCの日本×韓国戦を見たりもしたそうだ。
『ワルキューレ』は80億円以上の巨費を投じた歴史サスペンスで、トムは、第二次世界大戦末期にヒトラー暗殺計画を実行したドイツ人将校シュタウフェンベルク大佐を演じている。作品の魅力については、「アクションとサスペンスがあり、人がどういう風に生きるべきかが描かれている。シュタウフェンベルクが重大な決断をするところにも惹かれた」とコメント。また、「ドイツにも、ナチスに賛成しなかった人がいて、祖国の未来のために自己犠牲を払った人がいたということに大きな感銘を受けた」と語り、主演作への熱い思いがほとばしる会見となった。
実在の人物を演じたのは『7月4日に生まれて』以来2度目。シュタウフェンベルク大佐は空爆で左目と手の指を失ってしまうが、痛み止めの薬を接種したりはしなかったという。「痛み止めは中毒になる可能性があるから。すごい人だと思います。彼は国を愛し、家族を愛し、使命感を持って暗殺計画を実行した。そこにとても共感します」と、偉人を絶賛するトム。だが、黒いアイパッチを着けての演技は、「バランスがとりにくくて、慣れるのに時間がかかりました。でも、映画的にはとてもクールですよね」と話していた。
シリアスな作品のため、記者会見などで見せる輝くような笑顔は封印されているが、「映像ではシリアスですが、撮影現場には笑いがあふれていました。飛行機を操縦してエアショーのようなことを楽しんだりもしたし、砂漠のシーンの撮影時には、みんなでキャンプをしたんですよ」と語り、「笑顔は次の作品でお見せします」と笑っていた。
監督は『ユージュアル・サスペクツ』などで高い評価を得るブライアン・シンガー。トムも「監督の中の監督」と褒め称え、共に力を尽くしたこの作品の良さをアピール。特に苦心したのが「シリアスな内容に、いかに娯楽性を持たせ、観客の心をつかむか」だったと言い、一般客にテスト試写を見てもらったときのエピソードを披露してくれた。「試写の時に変装して試写室に入り、監督と一緒に人々の反応をチェックしました。すると、映画の最後に、期せずして拍手が起こったんです。これはとてもめずらしいことで、感動しましたね」。
映画作りと家族を何よりも愛するというトム。映画について語り出すと熱い思いはとどまるところを知らず、ついつい話が長くなる傾向に。だが、ふとそんな自分に気づくのか、通訳さんに「話しすぎ?」と聞き、ちょっとテレ笑いしながらも、さらに熱く語る姿が印象的だった。
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