ラブレターをキーワードに、中高年の恋愛を描いた感動作『60歳のラブレター』(5月16日より全国公開)。2000年にスタートした、夫から妻へ、妻から夫への感謝の言葉を葉書に綴る人気応募企画「60歳のラブレター」をもとにした作品だ。
3月24日に、この映画の完成披露記者会見と舞台挨拶が行われ、中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵らキャストと深川栄洋監督が出席。映画の見どころや撮影裏話などを語った。
帝国ホテルで行われた記者会見。主演の中村は本作で、原田と共に夫婦役に。若い恋人を持つ大手企業重役を演じた彼は、「原田さんとの夫婦役は多くて、今まで4、5回やっているんですが、なぜか、僕が浮気・不倫をする役が多い」と苦笑い。実生活では、女優・五十嵐淳子と結婚して以来おしどり夫婦であり続ける中村。夫婦円満の秘訣について聞かれると、「秘訣ってあるんでしょうか?」と戸惑いつつも、「私の場合は相性が良かったんだと思います。夫婦はそれぞれだと思うので、秘訣もそれぞれだと思います」と話し、「『この人で良かった』と思うことが度々あります」と、30年以上経っても変わらないラブラブな気持ちを、少し照れながら語ってくれた。
「ミドルエイジの作品が少ない中で、このような作品ができたことを嬉しく思っている」という原田。夫役を演じた中村については、「初めて会ったのが17歳の頃。この作品では30年間連れ添った夫婦を演じていますが、役柄の30年を実際の自分に重ねることができたので演じやすかった」と話していた。
口げんかは絶えないものの心が通じ合っている夫婦を演じたのはイッセーと綾戸。イッセーは、キーワードでもあるラブレターの思い出について聞かれ、「書いた記憶ももらった記憶もありません。高校の時にバレンタインデーにチョコをもらい、『これは何ですか?』と聞いた記憶はあります(笑)」。本作で女優に初挑戦した綾戸は、「友だちの分はよく書きましたが、(自分の分は)書いたことがありません」。ラブソングだったらいくらでも歌えるんだけど、と話していた。
一方、仕事を通じて恋が芽生える男女を演じたのは井上と戸田。「戸田さんのことは前から良く知っています。僕は気が弱い役で、戸田さんが演じる女性に引っぱってもらう設定なのですが、まさにその通りに描かれています」と井上、今回、戸田の演技力を目の当たりにして、「素晴らしい女優だ!」と改めて思ったそうだ。劇中で描かれる2人について戸田は、「大人の恋愛のもどかしさを表すカップルになったと思います。現場では歌ってばかりで、2人でノープランで演じていました」と教えてくれた。
中高年のラブストーリーを見事に描いた深川監督は、なんとまだ32歳! 綾戸は、「(監督から)『長年付き合ってきた夫婦なんだから、相手の目を見ないで話すんですよ』と演出された時に、『一体、(彼は)何歳なんだ!?』と思いました」と笑う。そんな綾戸たちと仕事をした感想について監督は、「それぞれ違う輝きを持っている方々なので、どうやって磨いたら、良い一瞬を切り取れるかを考えながら撮りました。6人が素晴らしいので、そこをぜひ見てもらいたい」と話していた。
その後、丸の内ピカデリーに移動し、完成試写会で舞台挨拶が行われた。この日はワールド・ベースボール・クラシックの日韓決勝戦が行われていたのだが、それでも試写会に来てくれたファンに中村は、「WBCもある中、よくお越しいただきました」と感謝を述べた後、「ぜひ、よい映画だったと友だち(最低)10人には伝えてください」と、ヒットを願いアピールしていた。
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