ドキュメンタリーアニメ『FLEE フリー』過酷な半生描く新場面写真
難民となった青年が明かす心揺さぶる半生を描くドキュメンタリーアニメ『FLEE フリー』が6月10日に公開される。このたび、主人公・アミンが生きた紆余曲折をうかがえる新たな場面写真が公開された。
・20年の時を経て初めて語る過酷な半生。難民であり、ゲイであるという2つの葛藤
本作品では、主人公の青年アミンが、幼い頃から十数年後にデンマークに難民として亡命した後までの誰にも語ることのなかった経験を、親友である映画監督(ヨナス・ポヘール・ラスムセン)に初めて打ち明け、その余りに過酷な半生が鮮明に描かれていく。
このたび公開された場面写真では、現在のアミンがラスムセン監督からインタビューを受ける様子のほか、アミンの一番古い記憶であるという3~4歳頃のご機嫌そうにはしゃぐ姿や家族との団らん風景、さらには、兵役から逃れるために身を隠す兄を母親と見送る姿、国を脱出するために母や兄と歩き続けた厳しい道のり、孤独と不安の中で訪れたつかの間の初恋、アミンが経験することになる本作品の最も感動的なシーンのひとつなど。
いずれも、アニメーションだからこそ再現できた、アミンの過去の実景と繊細な心の様子が切り取られている。
とくに、アミンにとっても特に辛いいくつかのシーンは、全く異なるタッチで抽象的に描かれているところに注目して欲しい。
「アニメーションのおかげで、アミンは自分の話をすることに抵抗がなくなりました」とラスムセン監督は明かす。
さらにラスムセン監督は、親友の思いを次のように代弁する。
「アミンは、自分の過去と折り合いをつけたいと思っていました。自分自身を完全にさらけ出せないことが、彼にとって重荷になっていたのです。しかし、彼は自分の話をすることで、人々に命がけで逃げることの意味を理解してもらいたいとも思っていたのです」
アニメ化することで登場人物を保護
本作品は、いまや世界中で大きなニュースになっている難民やアフガニスタンをめぐる恐ろしい現実、祖国から逃れて生き延びるために奮闘する人々の過酷な日々、そして、ゲイであるひとりの青年が自分の未来を救うために過去のトラウマと向き合う物語を描く。主人公のアミンをはじめ周辺の人々の安全を守るために、アニメーションで制作された。
アフガニスタンで生まれたアミンは、幼い頃、父が連行されたまま戻らず、残った家族と共に命がけで祖国を脱出した。やがて家族とも離れ離れになり、数年後たった一人でデンマークへと亡命、30代半ばには研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を果たそうとしていた。だが、彼には恋人にも話していない、20年以上も抱え続けていた秘密があった。あまりに壮絶で心を揺さぶられずにはいられない過酷な半生を、親友である映画監督の前で静かに語り始める……。
本年度アカデミー賞国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞3部門ノミネートのほか、アヌシー国際アニメーション映画祭最高賞、オリジナル音楽賞、ガン財団配給賞、サンダンス映画祭ワールド・シネマ・ドキュメンタリー部門グランプリ受賞ほか、82受賞136ノミネートを果たしている。
『FLEE フリー』は、6月10日に公開される。
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