戸田真琴の初監督映画『永遠が通り過ぎていく』が好評
人気現役AV女優で文筆家の戸田真琴が、映画監督になるという夢を叶えた。初監督作『永遠が通り過ぎていく』は4月1日に劇場公開されたが、盛況につき、上映が1週間延長されている(4月21日まで)。戸田監督はムビコレのインタビューにて、一時は自信をなくして劇場公開をあきらめかけたことを明かしているが、その映画が今、多くの人々の共感を呼んでいるようだ。
・『永遠が通り過ぎていく』戸田真琴監督インタビュー記事はこちら!
AV女優としての戸田真琴は、2016年にデビュー。作品タイトル『「私、Hがしてみたいんです」 戸田真琴 19歳 処女 SOD専属AVデビュー』からもわかるように、セックス未経験ながらAV女優になった。しかも、自らその世界に飛び込んだ。その背景には、「私はもともと結婚する人としかセックスするべきではないと思っていたんです。親が宗教にハマっていて普通の家庭環境ではなかったのですが、それとは関係なく、自分自身がそう思っていて」と語っているように、さまざまな体験や思いがあったようだ。
2023年1月でAV女優を引退、その後は表現者として活動
AV女優2年目には、新しい時代にふさわしい女の子を発掘するオーディション「ミスiD2018」にエントリーし、翌年「ミスiD2018」を受賞。2019年には「監督処女 戸田真琴実験映画集プロジェクト」をスタートさせ、クラウドファンディングで200万円を募ったところ、わずか2時間で目標を達成し、最終的に450人の支援者から約600万円を集めた(支援者の一部は、リターンにより映画のエンドロールに名前がクレジットされている)。その資金をもとに、戸田監督自身が脚本を執筆した3つの短編を撮影して1本の作品にまとめた『永遠が通り過ぎていく』を完成させ、自主上映を経て、今春の劇場公開にこぎつけたのだ。
その間に、「AV女優引退宣言」も行っている。2021年12月、「FLASH」(光文社)にて、2023年1月にAV女優を引退することを発表。デビュー時からのメーカーを離れ、別のメーカーの専属女優として1年間活動し、毎月1本の作品をリリースするのだという。戸田監督はムビコレのインタビューで「私はものを作ることが自分の本分だと思っています」と語っているが、これから表現者として活動していくためにも、まずは自身が世間に出るきっかけとなったAVの仕事をやりきって終えたいのだろう。
「自分自身の物語に決着を」その姿勢に心打たれる
「誰かのために人が楽しめるようなものを作ろうと思う前に、まず自分自身の物語に決着をつけるべきだと思っていたんですね。それで初めてマイナスがゼロになるという感覚ですね」と戸田監督が言うように、『永遠が通り過ぎていく』は自伝的要素の強い作品だ。3つの短編はそれぞれテーマや演出が異なるものの、監督自身がこれまで感じてきたであろう苦しみや葛藤とそれに向き合おうとする真摯さが伝わってくるもので、そこに共鳴する人々が多いのではないだろうか。粗削りな部分もあるが、もがいて訴えているだけでなく、光も感じられる。戸田監督の「伝えたい」という大きなエネルギーが、今後なにを生み出していくのかとても楽しみだ。
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