【今日は何の日】ビール片手に「パブ巡りがなんでそうなる?」と突っ込みたくなる痛快作を楽しもう

#イギリス#サイモン・ペッグ#ビールの日#ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!#今日は何の日

『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』
『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』
(C) Focus Features
『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』
『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』

4月23日は「ビールの日」だそうだ。「ビールと言えば○○」。もし○○に地名や国名を入れるとしたら、みなさんはどこを思い浮かべるだろうか。ドイツだろうか、ベルギーだろうか。人によって答えは様々だろう。筆者の場合は、パブとビールとフットボール(サッカーではないのがポイント)をこよなく愛する人たちが住む国「イギリス」を思い浮かべる。パブはイギリスを代表する文化とさえ思っている。イギリスのミュージシャンは、パブでひいきのフットボールチームの話に花を咲かせて政治家の悪口を言う生き物だ、という極めて勝手なイメージすら持っている。

今回ご紹介する作品は、そんなイギリスのパブをハシゴするおじさんたちを描いた『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』だ。『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のベンジー・ダン役、サイモン・ペッグが主役のゲイリーを演じている。

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大人になれないアルコホリックのリベンジ計画から始まった

ゲイリーを中心とする高校の同級生5人組は、20年前に地元のパブ12軒をハシゴする計画を立てたものの、途中でヘベレケになって離脱する者続出で計画をコンプリートできなかった。その後、それぞれ街を出て散り散りバラバラになり20年。家庭を持ち、あるものは離婚を経験し、仕事でそれなりのポストに就いて平穏(と思われる)日々を送っていた。若かりし日のやんちゃぶりはどこへやら、心も身体もそれなりに経年劣化してどこにでもいる平凡な「大人」になったのである。ある一人を除いては。

グループのガキ大将的存在だったゲイリーは、定職もなく家庭もなくアルコール依存症の自助グループに通う日々。あれから20年、よく言えば少年らしさを失わず、悪く言えば一向に精神的に成長しないまま年を重ねたのである。そんなゲイリーは、20年前にコンプリートできなかったパブのハシゴ計画が忘れられない。アルコール依存から抜け出せない今の自分から目を背けたいせいか、一緒に馬鹿をやった仲間とのキラキラしたあの頃の思い出が頭から離れないのだ。

『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』

そこで、残りの4人ひとりひとりの元を訪れ、通称「ゴールデン・マイル」計画をリベンジすべく招集をかけるのである。いきなりのゲイリーの訪問と勧誘に「いまさら何を」と眉をひそめて誰一人首を縦に振らなかったのだが、いざ当日になってみるとひとり、またひとり、と地元の駅のプラットフォームに降り立つメンバーたち。なんだかんだ言って、めでたく全員が集結したのである。

ぶっ飛びストーリーとUKロックを堪能!?

果たして今度こそ「ゴールデン・マイル」はコンプリートできるのだろうか? 昔話に花を咲かせて20年ぶりに友情を確かめ合うとか、またかつてのように離脱者が出て計画が頓挫するオチが付くとか、そんな平凡なストーリー展開を想像してはいけない。「これ一体何の映画だっけ?」と思いたくなるほど、物語は急旋回をしてあらぬ方向に突き抜けていく!

物語のスタート地点が90年ということもあり、挿入歌は90年代のUKロックファンにとって垂涎物のラインナップとなっている。プライマル・スクリーム、ストーンローゼズ、ザ・シャーラタンス、ハッピー・マンデーズ、スエード…などなど懐かしいメンツが目白押しであることも付け加えておこう。(T)