2014年の映画界はどんな作品が話題になりそうか。最大の話題作が、夏に公開されるスタジオジブリの『思い出のマーニー』だ。イギリス人作家の同名児童文学が原作だが、舞台を日本に変更。内省的な日本人の女の子が外国人のマーニーという不思議な女の子と出会い、心を開いていくジブリらしいファンタジー作品だ。監督は『借りぐらしのアリエッティ』の米林宏昌。「『アリエッティ』は興収92.5億円を記録し、その年の邦画ナンバーワンヒットになった。今作も年間1位の最有力作品」との声が興行関係者に多い。
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同じく夏公開で、ハリウッドで復活する『GODZILLA ゴジラ』に対する期待も大きい。98年にハリウッドで映画化されたが、ゴジラが日本のオリジナル版とは異なり爬虫類のような体形に変わり、日本人の観客には不評で動員数が伸び悩んだ。今作のゴジラは全身を明らかにはしていないが、ポスターにはオリジナル版を踏襲したゴジラの背中が描かれている。生誕60周年記念作でもある。「ゴジラが公開されるのは『ゴジラFINAL WARS』以来10年ぶり。子どもはゴジラを知らないので、うまくファミリー客を動員することができれば大化けするだろう」(劇場関係者)。
この他、夏には『劇場版ポケットモンスター』の新シリーズ『ポケモン・ザ・ムービーXY 破壊の繭』、シリーズ4作目『トランスフォーマー ロスト・エイジ』、原作の名作エピソードをちりばめて初めて3DCGアニメ化した『STAND BY ME ドラえもん』、名作『眠れる森の美女』の魔女マレフィセントを主役に据えアンジェリーナ・ジョリーが演じる『マレフィセント』、興収30.1億円を記録した人気マンガの映画化『るろうに剣心』に続き、2部作で映画化する『るろうに剣心 京都大火編』『るろうに剣心 伝説の最期編』などが控える。
夏以外でヒットしそうな話題作をシーズンごとに見てみる。春休みは、『映画ドラえもん』の新作『新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜』が本命と目される。続くのは、全米で大ヒット中のディズニーアニメ『アナと雪の女王』と、ヒット作続編『神様のカルテ2』だ。『アナ』は、女性が主人公でミュージカルナンバーが映画を盛り上げる内容なので、11年に興収25.6億円を記録した『塔の上のラプンツェル』と同じようなヒットを期待する声が目立つ。
「予想外のヒットになるのでは」との声が劇場関係者に多かったのが『LIFE!』だ。雑誌「LIFE」の写真管理部に勤める空想癖のある男性が、カメラマンを捜してアイスランドやヒマラヤなど世界中を旅するヒューマンドラマだ。「『フォレスト・ガンプ』にテイストが似ており、応援したい映画」(劇場関係者)。
GW興行は、前作が興収59.8億円を記録した『テルマエ・ロマエII』が一番と映画関係者の多くが予測。『名探偵コナン 異次元の狙撃手』『相棒−劇場版III−』も固定ファンが多く、期待が大きい。『コナン』は13年にシリーズ最高の興収36億円を記録し、公開中の『ルパン三世 VS 名探偵コナン THE MOVIE』はそれを上回る大ヒットとなり、勢いに乗っている。また原作の重要人物が映画に初登場する話題性もある。洋画では前作がヒットした『アメイジング・スパイダーマン2』が興行の中心になりそう。4月25&26日公開で『スパイダーマン』『テルマエ』『相棒』がぶつかっており、この日のシネコンは大きな盛り上がりを見せそうだ。
秋から冬作品は発表されたラインアップは少ないが、秋にヒット作続編『猿の惑星:新世紀』や周防正行監督の新作『舞妓はレディ』、冬に人気マンガを2部作で実写映画化する『寄生獣』が控える。
13年の年間興行収入は前年並みの1950億円程度にとどまったとみられる。14年の年間興行収入が13年を上回るには、今後発表される秋から冬作品の充実ぶりがカギを握りそうだ。(文:相良智弘/フリーライター)
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