【映画興収レポート/1月】昨年末公開作が依然好調、『永遠の0』が60億円で絶好調
1月に入っても12月公開作が引き続き観客を集めていたので、12月公開作と1月公開作の興行成績をまとめた。まずは12月公開作から。
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昨年12月21日に公開され、1月に入っても絶好調なのが『永遠の0』だ。全国週末動員数ランキングでは6週連続1位となっており、1月26日時点の興収は約60億円を記録している。昨年の邦画実写ナンバーワンヒット作『真夏の方程式』(33.1億円)の約2倍、昨年の正月映画ナンバーワンヒット作『レ・ミゼラブル』(興収58.9億円)を既に上回っている。近年の邦画実写の大ヒット作は12年『BRAVE HEARTS 海猿』(73.3億円)、10年『THE LAST MESSAGE 海猿』(80.4億円)。これらを上回ることができるかが注目点だ。
ベストセラー小説の映画化ということで、映画関係者や配給元・東宝の期待が高かった本作。東宝では、昨年7月に『風立ちぬ』、8月に『少年H』と零戦や太平洋戦争を題材にした作品が続いたことから、2作から公開時期を離して12月に設定した。ただし、7月からマスコミ向け試写会をスタートさせたり、7月22日には完成報告会見を行うなど、早い段階から宣伝を始めた。
一般向けの試写会は10万人規模で実施した。「5万人で最大規模」といわれるところ、その2倍という異例の規模で見せ込み、口コミで評判が広がることを狙った。公開直前には岡田准一、三浦春馬、井上真央らキャストや原作者の百田尚樹がテレビ番組に数多く出演してPR活動にあたった。公開中もテレビCMを流したり、年明け1月16日にはキャストや監督による大ヒット舞台挨拶を行うなど、公開後の宣伝にも力を入れた。これらのマーケティング戦略が奏功して、ロングランヒットにつながった。
『永遠の0』に次ぐのが『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』で興収は約41億円。『名探偵コナン』シリーズで最高は昨年公開の『絶海の探偵』の36億円で、これを上回った。公開直前に日本テレビ系「金曜ロードSHOW」でルパンとコナンが初めてコラボした09年のテレビアニメ『ルパン三世VS名探偵コナン』を再放送しており、これが動員増に一役買ったようだ。配給元の東宝の発表によると、客層は16〜19歳が24.2%、20代が23.5%、40〜50代が21.6%。コナンの中心客層である10代後半から20代に加え、ルパン世代と思われる40〜50代が映画館に足を運んだことで大ヒットにつながった。
洋画最大のヒットとなったのが『ゼロ・グラビティ』で興収は約28億円。昨年の洋画実写は、上半期に『レ・ミゼラブル』『テッド』など大ヒット作が相次いだが、下半期は夏の『ローン・レンジャー』が興収21億円を記録して以降、興収20億円超えのヒット作はない。3D映像の素晴らしさが口コミで広がり、久々のヒットとなったようだ。アカデミー賞では作品、監督など最多10部門でノミネートされており、3月2日の授賞式に向けて、どこまで興収を伸ばすかが注目点だ。
1月に入っても12月公開作が引き続き観客を集める一方、1月公開作の勢いは弱い。1位は『トリック劇場版 ラストステージ』の12億円。シリーズ最後を飾る作品ということで、公開直前にはスペシャルドラマが放映されたり、テレビ朝日系「日曜洋画劇場」では前作が再放送されるなどした。公開3週目で12億円は、前作(最終興収18.6億円)とほぼ同じペースだ。昨年公開されたテレビドラマの映画化は『真夏の方程式』が33.1億円、『謎解きはディナーのあとで』が32.5億円、『SPEC』前編が27.5億円。それらに比べると、やや物足りない成績となっている。前作『霊能力者バトルロイヤル』の公開が10年と間が4年空いたことから、観客の関心度がやや低くなっているようだ。
2位は『大脱出』の6億円。アーノルド・シュワルツェネッガーが来日した話題性もあり、洋画では最大のヒットとなった。3位は『ジャッジ!』の4億円。主演の妻夫木聡や北川景子がテレビ番組に出演してPRしたり、エースコックのタイアップCMが放映されるなどして動員増に貢献した。(文:相良智弘/フリーライター)
[13年12月公開作ランキング]
1位 『永遠の0』60億円
2位 『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』41億円
3位 『ゼロ・グラビティ』28億円
[14年1月公開作ランキング]
1位 『トリック劇場版 ラストステージ』12億円
2位 『大脱出』6億円
3位 『ジャッジ!』4億円
(共に1月26日時点。ムビコレ調べ)
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