TikTok幹部の過剰介入に抗議し、審査委員長が辞任/カンヌ国際映画祭
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コンペでは差別や人種間の緊張描く『Armageddon Time』が高評価
17日(現地時間)から始まった第75回カンヌ国際映画祭。序盤からハリウッド大作『トップガン マーヴェリック』を上映し、主演のトム・クルーズらがレッドカーペットに登場し、パンデミック前の華やかさを取り戻し、連日話題作が上映されている。
・トム・クルーズ、カンヌで5分間のスタンディングオベーションに感極まる
コンペティション部門では、ジェームズ・グレイ監督(『アド・アストラ』)の新作『Armageddon Time(原題)』が19日(現地時間)に公式上映され、高い評価を呼んでいる。
ニューヨークのクイーンズ出身のグレイ監督が、自身が少年だった1980年代の同地を舞台にした自伝的作品で、ユダヤ系の少年と黒人の少年の友情を軸に、差別や人種間の緊張などを描く。主人公の12歳の少年ポールの両親をアン・ハサウェイとジェレミー・ストロングが演じ、母方の祖父をアンソニー・ホプキンスが演じている。特にホプキンスには絶賛の声が数多く寄せられていて、早くも俳優部門での受賞が有力視されている。『Armageddon Time』の上映にはジュリア・ロバーツも参加し、レッドカーペットで報道カメラのフラッシュを浴びていた。
Netflixの人気シリーズ『イカゲーム』のイ・ジョンジェの初監督作『Hunt(英題)』はミッドナイトスクリーニング部門で招待上映された。1983年にラングーンで起きた主演も兼ねるイ・ジョンジェと共演のチョン・ウソンがカンヌ入りを果たし、19日深夜の上映後に拍手喝采が起きたという。
先述の『トップガン マーヴェリック』の上映やトム・クルーズに名誉パルムドールを贈るなど、華やかなエンターテイメントとアート作品の共存を目指す方向性がはっきりうかがえるが、今年から映画祭のオフィシャルパートナーに「TikTok」を迎えたことも話題となった。
TikTokアプリで制作された30秒〜3分の短編ビデオのコンペティション「TikTokShortFilm」も開催されたが、審査員長のリティ・パン監督が突如辞任するという事態が起きた。カンボジア出身で『消えた画 クメール・ルージュの真実』(13)などで知られるパン監督によると、TikTok側と芸術的独立性をめぐって意見の相違があったという。
「Hollywood Reporter」の取材にパン監督は、TikTok幹部が何度も審査に介入しようとし、審査団が選んだ作品のいくつかをTikTokが好む別作品に差し替えたこともあったという。審査団の選出作とTikTokが推す作品の両方を最優秀作品として表彰する形で一度は話がまとまったが、審査団の選んだ作品がコンペの条件に違反していたとして、TikTokが選んだ作品のみが受賞した。
これを受けてパン監督は審査員長辞任を決意したという。監督はTikTok側が「芸術的審査員とはアルゴリズムではなく、“審査員”であることを知るべきです」と語っている。
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