【興行トレンド】自社製作と他社製作が入り乱れ、今年も続々公開のアメコミヒーローもの
ハリウッド大作を担う“アメコミヒーローもの”。その原作元となる2大出版社がDCコミックとマーベルだが、毎年新作映画が公開され、今勢いがあるのがマーベルだ。2012年には、ヒーロー4人が一堂に会した『アベンジャーズ』、リブートされた『アメイジンング・スパイダーマン』、13年には『アイアンマン3』と日米で続々と大ヒット作を生み出している。今年は、公開中の『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』を含め日本国内で5本も控えている。マーベル作品は、製作元の違いから「マーベルの自社製作」と「マーベル以外の映画会社が製作」に分けられる。
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マーベルの自社製作は『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(原題)の3本で、15年公開の『アベンジャーズ』続編につながっている。『アベンジャーズ』のように、異なるヒーローが同じ映画で揃い踏みできるのは、マーベルが自社製作に乗り出したから。これまでは、製作する映画会社が異なるため、権利関係からヒーローが揃い踏みすることはできなかった。
08年、マーベルは自社製作に乗り出し、第1弾『アイアンマン』、第2弾『インクレディブル・ハルク』を公開。『アベンジャーズ』につながるシーンを最後に挿入した。コミックが映画化される際、それまでは映画会社がマーベルから映画化権をライセンスしてもらい、製作費や宣伝費を負担して製作・配給してきた。マーベルは映画化権のロイヤルティー収入を得るものの、大ヒットしても大きなリターンは得られなかった。同社としては、リスクがあっても自ら製作することで、大きなリターンを得ようというわけだ。また、自ら製作することでヒーローが揃い踏みすることが可能となった。
09年にはウォルト・ディズニーがマーベルを40億ドルで買収。『アイアンマン2』(10年)、『マイティ・ソー』『キャプテン・アメリカ』(11年)はパラマウントが配給したが、『アベンジャーズ』(12年)からはディズニー配給となっている。
マーベルはディズニー傘下になって以降、製作のペースをあげている。13年は『アイアンマン3』『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(日本公開は14年2月1日)、14年は『キャプテン・アメリカ』『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』(原題)、15年は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』『アント・マン』(原題)と、1年に2本ずつ公開している。巨大企業ディズニーの傘下に入ったことで、マーベルは製作資金集めを気にすることなく企画製作に専念できるため、製作のペースがあがったようだ。
一方「マーベル以外の映画会社が製作」は、ソニー・ピクチャーズの『アメイジング・スパイダーマン2』と、20世紀フォックスの『X-MEN:フューチャー&パスト』だ。
『アメイジング・スパイダーマン』は2作目が今年、3作目が16年、4作目が18年に公開される予定だが、新たに悪役を主人公に据えた2作品の製作を発表。『ヴェノム』と『ザ・シニスター・シックス』(原題)で、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのマーク・ウェブ監督、プロデューサーのアヴィ・アラッドとマット・トルマックが製作に携わる。
『X-MEN』は新作『フューチャー&パスト』が今年公開されるが、16年に新作『アポカリプス』(原題)を公開すると発表。また、『ファンタスティック・フォー』をリブートして15年に公開する。
両社がマーベル原作の映画化に力を入れている理由は2つある。1つは単純に人気があるからで、もう1つは契約上の問題。契約では、数年間に渡り新作を作らない場合、映画化権をマーベルに返さなくてはならない。フォックスが製作した『デアデビル』はスピンオフ作品『エレクトラ』以降、新作がないことから権利がマーベルに戻されている。
マーベルのヒーロー映画は、自社製作と他社製作が入り乱れ、今後も続々公開されそうだ。(文:相良智弘/フリーライター)
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