格差社会の真実をリアルに突き付ける問題作『東京難民』が2月22日に公開となり、有楽町スバル座で行われた初日舞台挨拶に中村蒼、大塚千弘、青柳翔、山本美月、金子ノブアキ、井上順、佐々部清監督、福澤徹三(原作者)が登壇した。
同作は、どこにでもいる大学生の時枝修が、父親が借金を抱えて失踪したために授業料の未払いを理由に大学を除籍され、アパートからも強制退去。ネットカフェに泊まりながら日払いのバイトで食いつなぐようになるというストーリー。騙されて入ったホストクラブでは高額な料金を突きつけられ、その店で働くしかなくなった主人公が、ついにはホームレスにまで転落してしまう姿を描き出す。
メガホンをとった佐々部監督は「僕の映画は普段は年齢層が高いのですが、今日は若い女性が多くて嬉しい。今回イケメンを入れてよかった」と話すと、「この企画をやりたいと言って3年かかって、やっと初日を迎えられたことに感無量です」と挨拶。
主人公の時枝修を演じた中村は、作品を振り返り「今まではどこか他人事で見ていたのですが、こうやって演じたことで自分にもあり得ることなんだと思いました」と語り、そんなホストになった修に惚れ込んだために、人生を踏み外していく北条茜役を演じた大塚は、撮影前に監督から中村と一緒に吉田拓郎の「制服」という歌を聴いてほしいと言われたことに触れ、「この歌に出てくる女の子からインスピレーションを受けて演じました。撮影も順番に撮っていったので、茜が修を好きになるところもすんなりできたかなと思います」と語った。
また、修がつとめるホストクラブの先輩・順矢役を演じた青柳は「僕にとってチャレンジングな役だったので、とても思い出深い作品。僕が原作から感じ取れた順矢のくすんだ部分も監督と相談しながら作っていきました」と話し、ホストクラブの常連客・瑠衣役に扮した山本は「演じた役が自分自身とは真逆だったので難しかったのですが、天真爛漫ですぐに人と仲良くなれるところに憧れがありました。元気で明るい子なんですが、実は愛に飢えていて、心に悲しいものを持っているというところが、女性に共感できるところではないかなと思います」と役への思いを述べた。
この日はサプライズで佐々部監督から井上に花束がプレゼントされる場面も。実は井上は前日の2月21日に67歳の誕生日を迎えたそうで、これには満席の会場からも温かい拍手が巻き起こっていた。
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