是枝監督、ソン・ガンホの受賞は「美しいゴール」日本映画界は「このままいくと手遅れになる」と危機感
是枝裕和監督が5月28日(現地時間)、第75回カンヌ国際映画祭「コンペティション部門」の授賞式に出席。授賞式後の囲み取材で、『ベイビー・ブローカー』が最優秀男優賞(ソン・ガンホ)とエキュメニカル審査員賞を受賞した喜びや今後の展望についてコメントした。
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韓国映画界で初の最優秀男優賞受賞に「一番嬉しい賞」英語圏での製作にも言及
是枝監督作品がカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞するのは、2004年に『誰も知らない』で柳楽優弥が受賞して以来2度目となる。今回、主演ソン・ガンホが受賞したことについて「自分の映画に出た役者が褒められるのが一番嬉しい。素直に嬉しいです」と是枝監督。
「この日韓の合同チームで主演の役者が男優賞というのは、韓国映画界でも男優賞初なので、ソン・ガンホさんも国際賞で単独というのは初だと思うので、そういう意味でも、今韓国国内でも結構盛り上がっているはずですし、僕ら…多分共演した役者たちもスタッフももらって一番嬉しい賞だと思う。彼がこの作品のキモだったし、本当にムードメーカーだったし、チームリーダーだったし、彼がこういう形で評価されたのは何よりでした」と受賞の喜びを語る。
撮影の裏では毎日フィードバックをし合い、信頼関係を築いていったという是枝裕和監督とソン・ガンホ。築いた関係性が結実した今回の受賞を、是枝監督は「この作品にとっての最高のゴール、とても美しいゴール」と表現した。
新人監督賞であるカメラドールのスペシャルメンションを受賞した早川千絵監督については、「長編デビューでここに来られて、本当に素晴らしいスタートだなと。心からおめでとうを伝えました」と是枝監督。
早川監督は、是枝監督が総合監修をつとめた『十年』で短編映画デビューしている。そんな早川監督にエールを送ったという是枝監督は「でももうきっと彼女はこれで、学生部門で来て、長編デビューで受賞して、このあとコンペが待っているという形だと思いますので、どんどんこういう形で、去年濱口さんが獲って、今年早川さんがこういう形で続いていくというのは日本映画にとってもいい流れだなと思います」と語った。
パク・チャヌク監督が監督賞を受賞するなど快進撃続きの韓国で、今回映画制作を経験した是枝監督。「学ぶことも多かった」と話す一方で、「日本の映画界全体が危機感を持つべきだと僕は思いますし、多分もう何年かこのままいくと手遅れになるなと個人的には思っています」と日本映画界の課題についてもコメントした。
今後については「英語圏で撮ってみたいというのはあるので、いつになるかわかりませんけど今回の総括がすんだら考えてみようと思います」と是枝監督。その理由は、撮りたい俳優がいるからだそうだが、誰かはまだ「内緒」。
「いろんな動きがあるので。それはチャンスがあるならば」と、密かに動いていることを話した是枝監督の今後に期待したい。
『ベイビー・ブローカー』は6月24日より全国公開。
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