『π』で長編映画監督としてデビューし、『レスラー』『ブラック・スワン』でその手腕を高く評価されたダーレン・アロノフスキー監督が、人類史上最古にして最大の謎「ノアの箱舟」伝説を描いた新作『ノア 約束の舟』を引っさげ来日。5月13日にTOHOシネマズ日本橋で舞台挨拶に臨んだ。
本作は、今年3月に全世界で公開されるや、次々と歴代オープニング記録を塗り替え、全米はじめ39ヵ国でNo.1を達成した話題作。日本での上映が最後となる今の心境を聞かれると、「不思議な気持ちです。というのも、世界中ですでに公開されていて、まだ日本で公開されていないということなので。日本でヒットし、成功する映画を作りたいというのは、長年の夢でした。最初に監督した『π』という作品も日本でヒットすることが夢だったんです」と答えた。
主人公のノアを演じるのはラッセル・クロウ。彼にオファーした理由について「この地球上に、ノアを演じることができる役者はそんなにいません。叙事詩であり、いろいろな奇跡が起きる大作をリアルに見せられる人は彼しかいないと思います。クロウだったら絶対にやれると確信してオファーしました」と回答。「嬉しいのは、この映画でのクロウの演技が、『グラディエーター』以来ベストと評されていることです。『グラディエーター』での彼の演技を見て以来、偉大な俳優だと尊敬しているので、とても嬉しいですね」と続けた。
さらに「なぜ、日本でのヒットにこだわるのか?」という質問には、「僕は、学生の頃から一番ミステリアスな、ワクワクする街が東京だったんです。東京発の建築、ファッション、写真、すべてが刺激的でいつも見ていました。今も東京に対する気持ちはまったく変わっていません。一番好きな映画は黒澤明監督の『用心棒』で、落ち込んだ時はいつも黒澤映画を見ています」と日本、そして東京に対する思い入れを明かした。
その後、アロノフスキー監督の『ブラック・スワン』の大ファンで、本作に出演するエマ・ワトソンが憧れという河北麻友子が大きな花束を持って登場し、アロノフスキー監督へ贈呈。本作についても賛辞を送ると、「好きなエマ・ワトソンの新たな一面をこの映画で見ることができました。どう引き出しましたか?」という質問が。
これにアロノフスキー監督は「エマは8回も同じ役(『ハリー・ポッター』シリーズのハーマイオニー)を演じていたけど、実際に会ってみるとハーマイオニーだけでなく、もっともっと可能性を秘めていました。ちょうど『ブラック・スワン』でナタリー・ポートマンが大人の女性を演じたように、本作で彼女も大人の女性へと見事に変身しているのです」と説明した。
最後にメッセージを求められると「映画を見て気に入らなかったら、2回目を見てください。2回目も気に入らなかったら、3回目を見てください」とジョークで締めくくっていた。
『ノア 約束の舟』は6月13日よりTOHOシネマズ日劇1ほかにて全国公開となる。
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