生きるために故郷ウクライナを去った15歳の体操少女が切り開く運命とは……
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ウクライナの「ユーロマイダン革命」を描いた『オルガの翼』9月公開
第74回カンヌ国際映画祭でSACD賞を受賞した、原題『OLGA』の邦題が『オルガの翼』に決定し、9月上旬から渋谷ユーロスペースほか全国で順次公開される。この度、日本版ビジュアルとメイン場面写真が公開された。
ロシアがウクライナ侵攻を開始する9年前、2013年、ユーロマイダン革命直前のキーウ。
欧州選手権出場を目指しトレーニングに励む15歳の体操選手オルガは、ヤヌコーヴィチ大統領の汚職を追及するジャーナリストの母と共に何者かに命を狙われる。
身の安全のためウクライナを離れたオルガは、父の故郷スイスのナショナル・チームに。SNSを通じ、変わり果てた街や家族・友人が傷つく姿を遠くから見るしかないオルガ。
しかし彼女も欧州選手権出場のため、ウクライナの市民権を手放さなければならず、政情が刻々と変化しオルガの心は大きく揺れる。
夢を持って祖国を離れた15歳の少女は、この苦境をどう切り抜けるのか。
新鋭エリ・グラップ監督が描くリアリティあふれる映像
マイダン・デモ参加者が現地で撮影した映像の緊張感。プロのアスリートの鍛え上げられた肉体が生み出す迫力と躍動感。そして、その場に居合わせたかのような圧倒的な映像体験。
マイダン革命の映像は、全て実際にデモ参加者がスマートフォンで撮影した映像を使用している。
そして、主人公のオルガを演じるアナスタシア・ブジャシキナは01年、ルハンシク生まれで、欧州選手権出場歴のある本物のアスリートだ。
彼女のほか、トップを目指す少女たちを国際大会出場レベルのプロのアスリートたちが演じている。
体操シーンの撮影は練習のペースに合わせて行われ、ドキュメンタリーかと見紛うほどだ。
少女たちの呼吸、情熱、目線、ためらい、ミスなど、競技の合間の繊細な表情も見事にすくい取っている。
94年生まれ、スイス出身の新たな才能エリ・グラップは、初長編監督作にしてカンヌ国際映画祭SACD賞受賞の快挙を成し遂げ、今後、活躍が期待される若手監督だ。
15年、マイダン革命を経験したウクライナのバイオリン奏者による実話に深く心を動かされたグラップ監督は、16年に脚本執筆をスタートさせ、5年の年月をかけて同作を完成させた。
アメリカのエンタメ業界紙Varietyは「個人の野心と祖国への愛着。その狭間でもがく少女の葛藤を、見事に描いている」と絶賛し、同じくSCREEN DAILYは「強烈な存在感。すみずみまで主演アナスタシアのパワーに満ちている」と現役アスリートである主演俳優に賛辞を送っている。
解禁された日本版ビジュアルには、赤いレオタードを纏う主人公オルガが体操演技を終え力強く着地した瞬間が映し出されている。
下部には、ウクライナ国旗を掲げた人々のデモの様子や、銃を抱えた兵士の写真が配置され、オルガを待ち受ける運命がうかがい知れる。「わたしは跳ぶ、この痛みを刻み付けて。」のコピーには彼女自身の身体と心の痛み、家族や友人たちの痛みを抱えて、生きていく覚悟が表現されている。
『オルガの翼』は、9月上旬から渋谷ユーロスペースほか、全国で順次公開される。
■ユーロマイダン革命とは
ウクライナで起きた市民運動。13年11月に首都キーウにある独立広場に市民が集まり出したことをきっかけに、14年2月に親ロシア派のヤヌコーヴィチ大統領の追放へとつながった。
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