『借りぐらしのアリエッティ』で長編アニメ映画の監督デビューをはたした米林宏昌監督によるスタジオジブリ最新作『思い出のマーニー』。この映画の完成披露会見が7月2日に東京国際フォーラムで行われ、米林監督が宮崎駿と高畑勲のジブリが抱える両巨匠から、「よく頑張った」「ジブリのエース」と“お褒めの言葉”をもらっていることが明らかとなった。
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本作は、イギリス児童文学の最高傑作との呼び声も高い「思い出のマーニー」を原作に、美しく広がる北海道の湿地を舞台にしたファンタジー。宮崎・高畑の両監督が関わらない初めてのジブリ長編映画でもあり、映画のどこを探しても両監督の名前が出て来ない本作について、西村義明プロデューサーも「この作品はスタジオジブリにとっては新しい挑戦になると思います」と新時代の幕開けを口にした。
また、映画化に至るまでの道のりについて米林監督は「『借りぐらしのアリエッティ』は宮崎さんが脚本を書いて、イメージボードも何点かつけてのスタートでした。『アリエッティ』を作り終えたばかりの頃はすごく達成感でいっぱいだったんですけど、時間が経つにつれ、『あそこはこうしておけば良かった』と反省するようになり、2作目を作らせてもらえるのだったら、もう少し違ったことができたなと思っていたんです。そんなときに鈴木(敏夫)さんと話していて、手渡されたのが『思い出のマーニー』の原作でした」と語り始めた。
「この作品はとても面白くて感動的なお話なんですけど、物語全体が杏奈のひとり語りで展開する心の物語で、しかも、メインになるのは杏奈とマーニーの会話シーン。すごくアニメ向きじゃない作品だったんです。なので、映画化するのは難しいと思い、1度お断りしています」と、決して平坦ではなかった道のりについても触れた。
最終的には引き受けることになるのだが、そのきっかけとなるのが自身で描いてみたイメージ画。「何点かイメージ画を描きながら考えてみようと思っていたときに思いついたのが、杏奈が絵を描く女の子にしたらどうだろうというアイデア。そうすれば、杏奈が絵を描く姿勢や物を見ている目、そういう物で杏奈の心の中が描けるのではないかなと思って。そうして何枚か絵を描くうちに、この作品がすごく良い物になるんじゃないかなと思えるようになってきました」と振り返った。
また、この映画を見た両巨匠の感想について、西村プロデューサーは「(2人とも)すごく褒めてくれました。宮崎さんからは二言だけもらいました。『本当にマロ(米林監督のニックネーム)、よく頑張った』というのと、『1+1=5の男である』ということ」と宮崎流の褒め言葉を披露。
一方、高畑監督の感想については「長文のメールをいただいたんですけど、すごくいいことを言ってくれました」と明かし、「作画も美術も、それ以降の行程についても本当によく頑張って“さすがジブリ”と言わせるものを作った。本作品をもって(米林監督は)ジジイが去った後の、押しも押されぬ“ジブリのエース”であると世間に持てはやされるだろう。米林宏昌監督を祝福したい」と、愛情のこもった高畑監督の褒め言葉を披露していた。
完成披露会見にはほかに、声優をつとめた高月彩良、有村架純、松嶋菜々子、寺島進、根岸季衣、森山良子、黒木瞳と、主題歌を歌うプリシラ・アーンが登壇。『思い出のマーニー』は7月19日より全国公開となる。
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