ディズニーアニメ『眠れる森の美女』の邪悪な妖精マレフィセントを主役に据えたファンタジー『マレフィセント』が大ヒットしているが、ディズニー製の実写作品では、ディズニーの数々のキャラクターを活用したり、創設者ウォルト・ディズニーの人生を題材にした作品が増えている。
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今年3月に公開された『ウォルト・ディズニーの約束』は不朽の名作『メリー・ポピンズ』の映画化舞台裏を、ウォルト・ディズニーと原作者P.L.トラバースの間に交わされたある約束を軸に描く。2015年夏公開『トゥモローランド』はウォルト・ディズニーが残したトゥモローランドに関する資料を基にしたミステリーアドベンチャー、15年公開『シンデレラ』『ジャングル・ブック』はディズニーアニメの名作を実写で甦らせる作品だ。
実はディズニーは16年までのラインアップを発表しており、アニメーションと実写でバランスよく構成している。これほど先までの公開予定を明らかにしているハリウッドのスタジオは他にはない。ディズニーという強力なブランドを核に公開本数を絞り、先々までのラインアップを発表して長期的なマーケティングを練る戦略を取っているのだ。
実写は前出のディズニー派生作品のほか、マーベル・スタジオとルーカス・フィルムがある。ディズニーはアニメを中心に、実写においてもファミリー向け映画に定評があったところに、マーベル・スタジオを2009年、ルーカス・フィルムを12年に買収。『アベンジャーズ』をはじめとするマーベルのアメコミ原作映画と、ルーカス・フィルムの『スター・ウォーズ』という男性向け映画の強力な作品群が加わり、盤石のラインアップになった。
マーベルでは、今年8月に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』、15年に『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』、新たなヒーローが活躍する『アントマン』、16年に『キャプテン・アメリカ3』が控える。ルーカス・フィルムでは、15年冬に『スター・ウォーズ/エピソード7(仮題)』が公開される。ディズニーでは16年にスピンオフ作品、17年に『エピソード8』、18年にスピンオフ作品、19年に『エピソード9』を公開すると発表しており、計画通りに進めば15年から毎年スター・ウォーズ関連作が公開され、マーベルに並ぶ実写の柱となる。
アニメーションのラインアップを見ると、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオとピクサー・アニメーション・スタジオの2本立て。ディズニー・アニメでは、マーベル・コミックスにインスピレーションを得て製作するアクション・アドベンチャー『ベイマックス』(12月20日公開)、動物たちの世界を描く『ズートピア』が16年に控える。
ピクサーでは、15年に人間の感情をキャラクター化した『インサイド・アウト』、人間と恐竜が共存する世界を描く『グッド・ダイナソー』、16年に『ファインディング・ニモ』の続編『ファインディング・ドリー』がある。
ディズニーが16年までラインアップを発表できるのは、大作の企画開発が順調に進んでいる自信の表れでもある。他社にとってはディズニーに先を越される格好になるが、ディズニーの競合作とぶつからないようにラインアップが組めるメリットもある。ディズニーの戦略が、ハリウッドのラインアップ全体に影響を与えているといえそうだ。(文:相良智弘/フリーライター)
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