“青春”のおすすめ音楽映画は? 音楽好きライター同士の映画対談(後編)
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【MOVIE Talk】お題「音楽映画」 (後編)
ムビコレのライターがお題に沿って映画を熱く語る対談企画、前編より引き続き、音楽映画トークをお届け!
・この夏に見たい音楽映画は? 音楽好きライター同士の映画トーク(前編)
音楽が印象深い映画はあの名作たち
羽野:この曲を聞くとこの映画を思い出すみたいな、映画と音楽がリンクしてるものって何かありますか?
伊藤:色々あると思うんですけど、今パッと思い出すのは『スモーク』(16年)ですね。トム・ウェイツの曲なんかが使われていて、映画そのものは普通の都市生活者の話なんですけど、音楽があるとないとで見え方が変わるなっていう作品で。
羽野:別に音楽にフィーチャーしたわけじゃないけど、結果的に音楽の占める存在感が大きくなったっていう映画ですね。私は『バグダッド・カフェ』(89年)が内容よりも音楽が印象に残ってます。
伊藤:「コーリング・ユー」という曲ですね。すごくいいですよね。
羽野:耳に残りますね。
伊藤:『E.T.』(82年)の月をバックに自転車が飛ぶ超有名なシーンとか、やっぱりあのジョン・ウィリアムズの音楽がかかるからあれだけ感動するというか、そういうのはあると思うんですよね。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14年)でも、最後にジャクソン5の「I Want You Back」がかかって終わるのとか、グッときますよね。
羽野:エンドロールの音楽って人の感情に訴えかけますよね。私の中では『トレインスポッティング』ですね。エンディング曲はアンダーワールドで、オープニングはイギー・ポップ。アンダーワールドの「Born Slippy」はめちゃめちゃ流行りましたよね。
伊藤:僕もあの映画はすごい作品だなと思いました。
羽野:空気感がすごくいいですよね。
ジョン・カーニー監督の青春音楽から『シェイン』へ
――ちなみに、音楽系の映画を作る監督で好きな人はいますか?
伊藤:僕が好きなのは、ジョン・カーニー監督ですね。『ONCE ダブリンの街角で』(07年)とか『はじまりのうた』(15年)とか『シング・ストリート 未来へのうた』(16年)とかの。特に『シング・ストリート~』はここ10年で一番好きな映画かもしれない。
羽野:音楽が印象的なんですか?
伊藤:はい。使われているのは基本オリジナル曲なんですけど。デュラン・デュランとかカルチャー・クラブとか、80年代のああいう音楽を思わせる雰囲気がよく出ているんです。高校生の子が二人で「UP」という曲を作る場面があるんですけど、曲ができていく過程のシーンがめちゃめちゃ好きで。すごい青春映画って感じで…。80年代後半くらいの音楽が好きな人にはたまらないんじゃないかと思います。ちなみに『ONCE ダブリンの街角で』はもっとアイルランドぽい映画です。
――それすごく好きな映画です。珍しくサントラも買いました。
伊藤:『ONCE~』主演のグレン・ハンサードはアイルランドのシンガーソングライターで、この6月に公開されたザ・ポーグスのボーカルのドキュメンタリー『シェイン 世界が愛する厄介者のうた』にも出てきましたよ。
羽野:公開中なんですね。この後見に行ってこようかな。
伊藤:シェインって50歳ぐらいで歯が抜けちゃったんですよ。
羽野:何でですか?
伊藤:不摂生すぎて。
羽野:聞くだけ野暮でした…。
伊藤:5歳でタバコを始めて高校生でドラッグ中毒になって50歳で歯が抜け落ちて。だけど今は矯正ですごいいい歯並びになってるんです。だけどザ・ポーグス自体はもう活動できてなくて。シェインも一応別のバンドをやってるとはいえ、なかなか活動できてないんじゃないですかね。
おすすめの1本を選ぶなら?
――最後に、お二人のおすすめの「音楽映画」を教えていただけますか。
羽野:“エンディング曲賞”なら『トレインスポッティング』です。
伊藤:僕は、完全に個人的な趣味で1本を選ぶなら、『シング・ストリート 未来へのうた』ですね。
羽野:私は、今日の話の中で挙げた映画ではないんですけど、『ジャニス』です。(74年、日本公開90年)19歳の時に『ジャニス』を一人で見て号泣した思い出があって。
伊藤:そうなんですか!
羽野:いじめられていたんですよね、彼女。変わり者だったので。アメリカだとプロム(卒業を目前にした高校生のために開かれるダンスパーティ)ってあるじゃないですか。好きな男の子に誘われるかどうか…っていうイベントなんですけど。プロムのことを聞かれた時に、「私のこと誘ってくる人なんか一人もいなかったわよ」って涙をこらえながら無理やり笑うジャニスを見て泣いちゃいました。
――“大号泣賞”ですね。今日はありがとうございました!
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