ヴェネチア映画祭金獅子賞はスウェーデン映画に、塚本晋也監督『野火』の受賞ならず

ヴェネチア国際映画祭公式サイトより
ヴェネチア国際映画祭公式サイトより

第71回ヴェネチア国際映画祭が9月6日(現地時間)に閉幕、コンペティション部門の最高賞・金獅子賞をスウェーデンのロイ・アンダーソン監督作『A Pigeon Sat on a Branch Reflecting on Existence(英題)』が受賞した。大岡昇平の小説を映画化した塚本晋也監督の『野火』は惜しくも受賞を逃した。

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『A Pigeon〜』は、アンダーソン監督の『散歩する惑星』(2000年)、『愛おしき隣人』(07年)に続く、人間を描く3部作“リヴィング・トリロジー”の3作目にあたり、ルネサンス後期の画家・ブリューゲルの「雪中の狩人」から着想を得たというファンタジー。アンダーソン監督は「私が最も影響を受けたのはヴィットリオ・デ・シーカ(『自転車泥棒』などのイタリア・ネオリアリズムの名匠)です」とスピーチで語った。

ウィレム・デフォーがイタリアの奇才、ピエル・パオロ・パゾリーニを演じたアベル・フェラーラ監督の『Pasolini(原題)』、アル・パチーノの最新主演作『Manglehorn(原題)』、金獅子賞有力候補と言われた『バベル』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の『Birdman(原題)』など、注目作は数多かったが、『英国王のスピーチ』などの音楽を手がけてきた審査員長のアレクサンドル・デスプラは今回の審査基準について、人間的で詩的なディメンションのある作品を選んだと語った。

男優、女優共に最優秀賞に輝いたのはサヴェリオ・コスタンツォ監督の『Hungry Hearts(原題)』。ニューヨークで出会ったアメリカ人男性とイタリア人女性が結婚し、生まれて来た子どもをめぐる心理サスペンスで、『フランシス・ハ』のアダム・ドライヴァー、イタリア女優のアルバ・ロルヴァケルが受賞した。

オリゾンティ部門には韓国のホン・サンス監督が加瀬亮を主演に迎えた『自由が丘で』(ホン・サンス監督)が出品されたが、こちらも受賞はならず。インドの『COURT(原題)』が受賞した。

受賞結果は以下の通り。

コンペティション部門
金獅子賞:『A Pigeon Sat on a Branch Reflecting on Existence』(スウェーデン、ドイツ、ノルウェー、フランス)ロイ・アンダーソン監督

銀獅子賞(最優秀監督賞):アンドレイ・コンチャロフスキー監督『The Postman’s White Nights(英題)』(ロシア)

審査員大賞:『The Look of Silence(原題)』(デンマーク、フィンランド、インドネシア、ノルウェー、イギリス)ジョシュア・オッペンハイマー監督

審査員特別賞:『Sivas(原題)』(トルコ、ドイツ)カーン・ミュデジ監督

最優秀男優賞:アダム・ドライヴァー『Hungry Hearts』(イタリア)

最優秀女優賞:アルバ・ロルヴァケル『Hungry Hearts』(イタリア)

マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞):ロマン・ポール『Le Dernier Coup de Marteau(原題)』(フランス)

オリゾンティ部門・作品賞:『COURT(原題)』(インド)チャイターヤ・タムハーネ監督

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