精神的・肉体的苦痛に快楽を見出す“マゾヒズム”の語源ともなった作家、L・ザッヘル=マゾッホ。その代表作でもある自伝的長編小説を、鬼才ロマン・ポランスキー監督が映画化した『毛皮のマリー』の日本版予告編が公開された。
本作は、墜ちていく男と支配する女の倒錯的な性愛を描いた作品で、自信家で傲慢な演出家が魅力の欠片もないと思われたがさつな女優の演技に魅了され、次第に支配されていく様子がエロティックに綴られていく。『ローズマリーの赤ちゃん』『チャイナタウン』など衝撃的な作品を数多く放ってきたポランスキー監督が、マゾッホの古典的作品をどう料理するかが見どころのひとつ。『潜水服は蝶の夢を見る』のエマニュエル・セニエとマチュー・アマルリックの演技にも魅了される。
今回日本版予告編のナレーションをつとめたのは、ポランスキー監督のファンだという三上博史。作品の魅力については「密室のなかでの濃密な2人のやりとり。刻々と変化する2人の関係、役どころ。責める喜び、責められる快感が交差するその高揚感。一役者としてワクワクしながら覗き見の感覚でした」と語った。
また、快楽に墜ちていく演出家への共感も口にし、「自己の深くで眠っていた潜在意識(sense)が目を覚ます、発芽するとでも言うのでしょうか? それが演じることの快楽というか、快感かもしれません。特にボクのような凡庸な人間には『だから役者はやめられない』のです。とてもやりがいのある役。演じてみたいですね」と語った。
『毛皮のマリー』は12月20日より全国公開される。
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