8月下旬〜9月公開作の興行成績をまとめた。9月に入っても好調なのは『STND BY ME ドラえもん』だ。8月24日時点の興収は46億円だったが、9月21日時点で72億円。この1か月で26億円伸ばした。今年公開された邦画では最大のヒットを記録している。
おなじみのキャラクターが3DCGで立体的に描かれることで、手の動きや目の動きなどが繊細になり、感情表現がより豊かになっている点が特徴だ。どこでもドアやアンキパンなどのひみつ道具は質感がリアルに生まれ変わり、タイムマシンに乗り込んだ時の周囲の空間はカラフルで異空間の雰囲気がより表れている。タケコプターで空を飛ぶシーンは、今までのドラえもんになかった疾走感にあふれている。これらが大人の観客に受けているようだ。
1位は『るろうに剣心 伝説の最期編』の22億円。公開中の『京都大火編』(興収50億円)の勢いが後編につながった。2部作の連続上映は12年『僕等がいた』(前篇25.2億円、後篇17.2億円)、13年『劇場版SPEC〜結〜』(漸ノ篇27.5億円、爻ノ篇20.6億円)とあるが、いずれも後編の方が勢いが鈍り、興収を落としている。
『るろうに剣心』では、『京都大火編』の勢いを『伝説の最期編』に持続させる工夫を施した。『京都大火編』ヒットを記念して8月9日〜10日にかけて主演の佐藤健が全国10都市で舞台あいさつツアーを敢行したり、『伝説の最期編』に福山雅治が出演していることを発表、9月3日に『伝説の最期編』のイベント上映をするなどして話題性を持続。公開直前には、前作同様に佐藤を中心にバラエティ番組や情報番組に出演してPRにつとめた。特にスピーディーでアクロバティックな殺陣シーンのメイキング映像を番組中で流してもらい、『伝説の最期編』ならではの魅力を伝えることで、観客の関心度が高まったようだ。『伝説の最期編』公開9日間で22億円は、『京都大火編』に比べて13%増の出足となっている。
2位は『ルパン三世』の18億円。国民的な人気アニメの実写化ということで、キャスティングを巡ってファンの間では賛否両論が起きた。だが、興行成績を見る限りでは観客に受け入れられたといえる。同じく往年の人気アニメを実写化し、昨年公開された『ガッチャマン』の興行成績が振るわなかったのとは対照的となった。権利の関係でアニメとのコラボはなかったが、正月公開の『ルパン三世VS名探偵コナンTHE MOVIE』の大ヒットが実写版の注目度アップに一役買ったとみられる。また製作元のTBSでは特別番組を放送したり、主演の小栗旬を中心にバラエティ番組や情報番組に出演してPRにつとめたことで観客の関心度が高まったようだ。
3位は『LUCY/ルーシー』の9億円。リュック・ベッソン監督の新作で、主演はスカーレット・ヨハンソン。マフィアの闇取引に巻き込まれたヒロインが、特殊な薬の影響で脳が覚醒。超人的な力でマフィアと戦う。「人間は脳を10%しか使っていない」「もし脳が目覚めたら」と、内容をアピールするテレビCMが観客を引き付けたようだ。また公開記念イベントに、木下優樹菜、具志堅用高、AKB48の川栄李奈、陣内智則らが出演してメディアに取り上げられたことも話題性の喚起に一役買った。(文:相良智弘/フリーライター)
[8月下旬〜9月公開作ランキング]
1位『るろうに剣心 伝説の最期編』22億円
2位『ルパン三世』18億円
3位『LUCY/ルーシー』9億円
※『STAND BY ME ドラえもん』72億円
(9月21日時点。ムビコレ調べ)
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