10月23日(木)から31日(金)まで、第27回東京国際映画祭が開催される。オープニング作品はディズニーアニメーションの新作『ベイマックス』、クロージング作品は人気マンガの実写化『寄生獣』だ。
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昨年、映画祭の総責任者の名称をチェアマンからディレクター・ジェネラルと変え、元アスミック・エース エンタテインメント株式会社代表取締役社長の椎名保(しいな・やすし)氏が就任。今年は新体制2年目にあたる。2020年に東京でのオリンピック開催が決まり、映画祭のロゴを「東京」をイメージする「T」をモチーフに変更。オリンピックを機に、政府が日本ブランドを海外発信する一環に東京国際映画祭も入り、バックアップ体制が強化された。今までは、街全体が盛り上がる釜山映画祭などアジアの後発映画祭に勢いの点で負けていた感があるが、オリンピックなどの要素を機に活気が生まれるか注目だ。
施策の1つが国際交流基金との取り組みで、東京国際映画祭を通じ、日本とアジアの映画交流事業を2020年まで実施する。昨年の新体制発足時に、アジアの新鋭監督の作品を世界へ発信するコンペティション「アジアの未来」部門を新設したが、今年は拡充。「アジアの未来」部門に「国際交流基金アジアセンター特別賞」を創設した。またアジア映画の特集上映を行う「CROSSCUT ASIA」を創設し、今年はタイ映画にスポットを当てる。さらに、日本とアジアの気鋭の監督が、ひとつのテーマのもとにオムニバス映画を共同製作するプロジェクトも立ち上げ、東京国際映画祭でのワールド・プレミア上映、世界主要映画祭での上映を目指している(今年は製作準備のみ)。
開幕・閉幕日も、昨年に引き続き平日にした。一昨年までは土曜日をオープニング、9日目の日曜日をクロージングとしていたが、昨年オープニングを木曜、クロージングを金曜に設定し、オープニング、クロージング、そしてその間の土日にもう1つ(映画祭を盛り上げる)“山”を作ることを狙った。今年の大きな“山”が、27日(月)の歌舞伎座イベントだ。
国内外に東京という都市の魅力と映画の魅力を発信するため、日本伝統芸能の発信の地である「歌舞伎座」と組んで特別上映イベントを27日に実施する。内容は、歌舞伎と縁のあるチャップリンの『街の灯』を特別上映し、上映前に歌舞伎俳優・市川染五郎が舞踊を披露するというものだ。
また六本木ヒルズ・アリーナには26日(日)に『MIRACLE デビクロくんと恋の魔法』の出演者が来場したり、28日(火)には『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』のハリウッドスターが来場予定で、これも映画祭の“山”になりそうだ。
昨年は日本のアニメーション映画の発信に力を入れることを謳い、特別招待作品に3本のアニメを入れた。今年の施策は特集上映「庵野秀明の世界」だ。TOHOシネマズ日本橋で24〜30日にかけて実施。テレビアニメや劇場公開作品に加え、学生時代に自主制作した短編やCM、PVを含めた約50作品を上映する。
また今年は、「サムライ」のように時代を切り開く革新的な映画を世界に発信してきた映画人を称える「サムライ賞」を新設。第1回の今回は北野武監督、ティム・バートン監督を表彰し、北野監督は映画祭期間中、若手映画人に向けたトークショーにも出演する。
映画祭を盛り上げるため、秋元康氏が総合プロデューサーとして協力するイベントを六本木ヒルズ・アリーナで連日実施。さらにハロウィンに合わせて世界コスプレサミットを実施したり、「東京映画食堂」と題して日本のトップシェフ5人が六本木で料理を作る予定だ。
記者会見でディレクター・ジェネラルの椎名氏は「映画祭の認知が高まれば、フィルムメーカーからも映画祭に出品しようと思ってもらえるし、良い作品が集まってビジネス的にも成功すれば、さらに映画祭の知名度が上がる。認知度、知名度を意識しながら映画祭を運営していきたい」と語った。今年の東京国際映画祭は改めて認知度や知名度を意識、一般に知名度の高い北野監督や秋元康氏などの協力も得ながら、映画祭を盛り上げていく考えだ。(文:相良智弘/フリーライター)
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