7月22日、都内で映画『夜明けの夫婦』の公開初日舞台挨拶が行われ、主演の鄭亜美、泉拓磨、石川彰子、岩谷健司、山内ケンジ監督が登壇した。それぞれが本作について語っている。
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子作りのプレッシャーに晒されて生活する二世帯住宅描く“純粋社会派喜劇”
山内監督が脚本を手がけた本作は、コロナ終息後の日本を舞台に、子作りのプレッシャーに晒されて生活する二世帯住宅の家庭を描いた、“純粋社会派喜劇”。セックスレスの夫婦が行為に挑もうとする姿が赤裸々に描かれる。
コロナ禍もようやく一応の終焉を迎え、町行く人々の口元にもマスクが目立たなくなってきた。33歳のさらは、31歳の夫・康介の家で康介の両親と一緒に暮らしている。さら夫婦にはまだ子供はいない。ある日、義理の母が「そろそろ子供は? 作らないの?」と遠慮がちに聞いてきた。遠慮がちに聞かれたのはもうこれで何度目であろう。しかし、パンデミックの間、さらと康介は、今までよりもはるかに長くこの家に居たのに、すっかりセックスレスになっていた。なおかつ、さらは最近、康介に女がいることに気がついていた。さらは、夜中にコンドームを捨てた。一方、義理の母、晶子は、コロナによって年老いた母を亡くしたこともあり、命について深く考える毎日。どうしても孫の顔を見たいという欲求で精神的に不安定になっていた…、というストーリーが展開される。
7年ぶりの長編監督作となる山内監督は、本作の着想について「鄭亜美さんで何か書きたいというのがずっとあった。あと、うちの実家で撮りたいと思っていた」と説明。映画の中で家族が暮らす家は、実際に山内監督の実家で撮影したという。さらに「小劇場の知り合いの女優さんたちが皆、一斉に出産されまして、実際の子どもを抱いて勢揃いしているというのは、今しか撮れないと。そういうのがやりたいことがいくつか組み合わせたら、こういう話になりました」と明かした。
今回、在日韓国人という役柄で、劇中では韓国語で話すシーンを演じた鄭は「友人役の李そじんさんとは、同じ劇団『青年団』にはいるんですけど、いかんせん劇団員が250名もいるので、会ったことも話したこともなくて。今回初めて撮影でお会いして、いきなり撮影したら大変だよね、1回会ってみたらどうかと山内監督たちにご配慮いただいて、撮影前に稽古場で初めましてでお会いして、お互いどういう言葉を使うのか、どういう表現がいいと思うかとすり合わせ作業をしました。お互いの一番良いポイントを見つけて、脚本を2人で韓国語にして、言葉自体が相手に届いているのか全部解消してから、腑に落ちながら演じることができました」と語った。
岩谷は、自身の結婚生活の経験から本作について「僕も結婚当初、相手の両親や自分の親から、子どもどうなってるの?というプレッシャーはすごい受けて、結局子どもを作るためだけにとなると、(セックスが)できなくなっちゃうんですよね。そういう意味で、身につまされる攻めた映画」と言及。裸のシーンも多いが、山内監督は「昼間だと、肌が白くて、家の壁も白くて、フォーカスが合わないんですよ。ぼやけちゃって」と撮影時の苦労をこぼした。
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