7月26日は幽霊の日。1825年のこの日、江戸の中村座で四代目・鶴屋南北作「東海道四谷怪談」が初演されたことにちなむ記念日だ。
日本の夏がホラーの季節になったのは、あの世から死者の霊魂が帰ってくる「お盆」に、歌舞伎で幽霊が出る恐ろしい演目を上演したからなのだそう。そこで今回は、“幽霊”にまつわる映画を紹介しよう。
・暗がりにうっすらと浮かぶ“何か”…Jホラー・ブームを巻き起こした巨匠の挑発的な最新作
『リング』にも影響を与えた!? 『シェラ・デ・コブレの幽霊』
建築家でもあり、心霊調査員でもあるネルソン・オライオンの元へ、一本の依頼が舞い込む。それは、「死んだはずの母親から電話がかかっているので調査してほしい」というもので、調べていくうちにメキシコのシェラ・デ・コブレという村で起きた幽霊騒ぎが関わっていることがわかり…。
今回紹介する『シェラ・デ・コブレの幽霊』は、1967年に公開“予定”だったアメリカのホラー映画。公開できなかった理由は諸説あるが、一説によるとあまりの映像の恐ろしさに試写会で具合が悪くなる人や、失神者が続出したためなのだとか!?
劇場公開されることはなかったものの、日本では何度かテレビ放送され、「昔見ためちゃくちゃ怖い映画」として語り継がれることとなった。あの『リング』(88年)の脚本を手がけた高橋洋は、幼い頃に本作の予告編をテレビ放送で見た経験をモチーフに『女優霊』(96年)の脚本を書いたという。
本作は世界で2本しかフィルムが現存せず、権利の関係で長い間ソフト化も絶望視されていたため“幻のホラー映画”とされていたが、2018年にマニア待望のBlu-ray&DVD化(英語字幕)、さらに今年5月からはAmazon Prime Videoにて日本語字幕付きで配信もスタート! ホラー映画好きの間では大きなニュースとなった。
…と、話せばキリがないほど逸話だらけの本作。実際どれだけ怖いのか気になるポイントだと思うが、リアリティあふれる映像を見慣れた私たちからすると「これで本当に失神したの?」と思ってしまうほど。しかし、思った以上にストーリーがしっかりと作られており、怪奇現象の原因を突き止める“探偵もの”として存分に楽しめる。
実は、本作の監督であるジョセフ・ステファノは、アルフレッド・ヒッチコック監督の名作『サイコ』(60年)の脚本を手がけた人物。元々テレビシリーズのパイロット版として本作が作られただけあり、続きものとしても楽しめそうな内容だ。ホラー映画が苦手な方でも比較的安心して楽しめる作品なので、気になる方はぜひ幻のホラー映画”を体感してほしい。(Y)
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