120億円超の大作アクションがお蔵入り 経理上では最良の策と言われるも、俳優・監督に衝撃走る
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DC映画『バットガール』、ネット配信もナシ
ワーナー・ブラザースがDC映画『Batgirl(原題)』を劇場・配信などで一切公開することなくお蔵入りすることを決定し、大きな波紋が広がっている。
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『バットマン』シリーズのゴードン警察本部長の娘でもあるヒーロー、バットガールを主人公にした同作の撮影は数ヵ月前に終了しており、ポストプロダクション段階に入っていたが、9000万ドルの製作費をかけた大作はお蔵入りが決定した。
ワーナー・ブラザースは昨年、2021年の劇場公開映画全作品を同時に配信公開するとして物議を醸したが、今年4月にワーナーメディアと「ディスカバリーチャンネル」「アニマルプラネット」を有するディスカバリーが統合し、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーとなり、新しくデヴィッド・ザスラフ氏がCEOに就任すると、今度は長編映画をHBOMaxで配信する前に劇場で先行公開するとした。
『Batgirl(原題)』はコロナ禍の影響を受け、当初7500万ドルだった製作費が9000万ドルまで膨れ上がり、劇場公開のための宣伝には3000万〜5000万ドル、世界で公開するとなると、さらに数千万ドルを費やすことになるという。
劇場公開せずとも配信で、という流れは従来にもあったが、今回はHBO Maxでの配信も取りやめとなった。
実は『Batgirl』ともう1本『Scoob!(原題)』もお蔵入りとなった。
アメリカの業界誌「Variety」によると、両作品について税務上の評価損を計上することで、経理上ではコスト回収のための最も健全な方法となると見られている。
この決定は、監督のアディル・エル・アルビとビラル・ファラー、そして主演のレスリー・グレイスにとっても寝耳に水のことだった。衝撃の一報を受けたグレイスはバットガールのコスチューム姿の写真や撮影現場の動画をインスタグラムに投稿。
「私たちの映画『Batgirl』についての最新のニュースを受けて、私は、素晴らしいキャストと疲れ知らずのスタッフ全員が7ヵ月以上もスコットランドでこの映画に注いだ愛と労力を誇りに思います。私は本当に素晴らしい人たちと仕事をし、その中で一生ものの関係を築けたことを幸運に思っています。バットガールのファンのみなさんへ、私にマントを纏わせてくれて、そしてBabs(注:バーバラ・ゴードン/バットガール)が言ったように『私自身の最高のヒーロー』にならせてくれた愛と信念に、ありがとうございます!」と綴った。
モロッコで結婚式を挙げ、同地に滞在中だったアディル・エル・アルビ監督もインスタグラムに、「一報を聞いて、悲しく、ショックを受けています。まだ信じられません。監督として、自分たちの作品を観客に見てもらうことは重要であり、映画は完成まで程遠かった状態でしたが、世界中のファンの方々に最終版を見てもらい、愛してもらえる機会が訪れることを願います。もしかしたら、神が望めば、いつの日か。
私たちの素晴らしいキャストとスタッフは懸命に働き、バットガールに命を吹き込んでくれました。私たちはそのチームの一員であったことを永久に感謝します。マイケル・キートン、JK・シモンズ、ブレンダン・フレイザー、ジェイコブ・スキピオ、コリー・ジョンソン、レベッカ・フロント、そして特に、偉大なレスリー・グレース。多くの情熱と献身、そして人間らしさをもってバットガールを演じてくれました。これほど素敵な俳優たちと仕事ができたのは夢のようでした。
私たちは子どもの頃からバットマンの大ファンでしたから、DCEUの一員となれたのは光栄なことでした。それがたった一瞬のことであっても」
ビラル・ファラー監督も同じ内容の投稿をアップしていて、監督たちとグレイスのコメントの最後には「Batgirl for life(一生、バットガール)」のハッシュタグが付けられている。
ワーナー・ブラザースは「『Batgirl』を公開しないという決定は、DCユニバースとHBOMaxに関連する我々のリーダーシップの戦略的転換を反映しています。レスリー・グレイスは信じられないほど才能ある俳優で、この決定は彼女の演技を反映したものではありません。私たちは、『Batgirl』と『Scoob! Holiday Haunt』の製作者たちとそれぞれのキャストに、大変感謝していると同時に、近い将来、皆さんと再びコラボレーションできることを望んでいます」と声明を発表した。
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