原作に思い入れあればあるほど、その良さが生かされているかとヤキモキさせられる元ネタ映画。今年もあまた作られた元ネタ映画からマイベスト10を決めたいと思う。
第10位『STAND BY ME ドラえもん』
まずは、国民的アニメの初のCG長編作品。「のび太の結婚前夜」など原作のなかでも感動系の名作をいくつか組み合わせて“泣かせます!”をウリに。しかしながら、立体的過ぎて人形劇を見ているようなCG映像の違和感が感動をジャマ。さらに、ドラえもんとの出会いから描かれ、ダイジェストでざっくり見せられているため、「さようなら、ドラえもん」のエピソードも“さっき出会ったばっかじゃん?”って気が。感動に乗れず残念。タケコプターで飛ぶのは実は非常に難しいのでは?という疑問に応えてくれた点は見る価値があった。
第9位『ルパン三世』
こちらも国民的な人気を誇る作品を実写映画化したクライム・アクション。世間的には不評だったが、ルパン三世の小栗旬をはじめとして固定イメージのあるメインキャラに果敢に挑んだ役者陣はそれぞれ及第点。個人的には銭形警部役の浅野忠信はダミ声でがんばり予想以上、五エ門役の綾野剛は意外と色気が感じられずに期待外れだった。
第8位:『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』
絶えず人気作を輩出する偉大なコミック誌「ビッグコミックスピリッツ」に連載中の人気コミックを実写映画化。暴力団の世界に潜入捜査する巡査を描く原作のコミカルさと過激なバイオレンスというテンション高いノリと、三池崇史監督と宮藤官九郎脚本のノリがベストマッチング! 三池組初参加の生田斗真ものっけから全裸疾走を見せ、何も考えずに楽しめるお祭り映画として上出来。
第7位『銀の匙 Silver Spoon』
うーん、筆者が荒川弘による原作コミックのファンだけに、どうしてもハードルが高くなってしまったため7位に。農業高校に入学したサラリーマン家庭の主人公がカルチャーショックを受けながら成長していく青春ドラマとしては成立している。ただ、学歴至上主義の父親との葛藤や日本の農業の現実など、原作の核となるシビアなテーマは掘り下げられず、笑いと恋愛に走ったお手軽作品となっているのは否めない。セクゾの中島健人主演のジャニーズ映画ということではまともな線というところか。
第6位『寄生獣』
筆者だけでなく、根強いファンを持つ奇跡の大傑作漫画を実写映画化してしまった凡作。ハリウッドも実現できなかったのに。あれほど、筆者がやめておけといったのに。今更なぜ? とは思うが、人間を捕食する生物を描くSFアクションとあって、ここまでCG技術が進歩したから映画化できたことであろう。原作に忠実にはしようとしているため、大きく神経を逆なでされることはなく、また、特に印象に残ることもなく。2015年4月25日公開の後編『寄生獣 完結編』を見るかどうかは微妙なところ。
(…後編へ続く)(文:入江奈々/ライター)
・2014年原作あり映画ベスト10・後編/栄えある1位は、あの変態ストーリー!
入江奈々(いりえ・なな)
1968年5月12日生まれ。兵庫県神戸市出身。都内録音スタジオの映像制作部にて演出助手を経験したのち、出版業界に転身。レンタルビデオ業界誌編集部を経て、フリーランスのライター兼編集者に。さまざまな雑誌や書籍、Webサイトに携わり、映画をメインに幅広い分野で活躍中。
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