12月公開作の1位は『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』の54億円。一大ブームとなっている人気キャラクターの劇場版。ケータたちが消えた妖怪ウォッチを追って過去の世界へ向かうと、次第に妖怪ウォッチ誕生の秘密が明かされる。全国の劇場で発売された前売り券の販売枚数は114万枚に上り、配給元である東宝の史上最高記録を更新。公開前から劇場版第2弾が15年冬に公開されることが決定している人気ぶりだった。定番アニメ映画『ポケットモンスター』『ドラえもん』の興収が30億〜40億円だが、これを公開から16日間で上回る成績だ。
・前売り券100万枚突破!『妖怪ウォッチ』人気はいつまで続く?『ポケモン』との違いは?
特に公開初日2日間の興収は約16億円で、『千と千尋の神隠し』を上回る東宝新記録を樹立する勢いを見せた。主なシネコンでは公開1週間前からプリセール(事前販売)を実施し、公開日には夜遅くをのぞく上映回のほぼすべてが売り切れ。シネコンによっては追加上映を実施し、こちらもほぼ満席の状態だった。
2位は『ベイマックス』の41億円。『アナと雪の女王』に続くディズニー・アニメーション新作。舞台が東京とサンフランシスコを融合した架空の都市サンフランソウキョウで、主人公の名前がヒロ(兄がタダシ)、ケア・ロボットのベイマックスの顔は鈴からインスパイアされて作られた、と日本人に親和性の高い内容。『アナ雪』『マレフィセント』の大ヒットでディズニーブランドの信頼性が増しており、映画関係者の期待も高かった。初日2日間で6億円と、『アナと雪の女王』に次ぐディズニー・アニメーション歴代2位のスタートとなった。
正月映画興行は『妖怪ウォッチ』『ベイマックス』のアニメ映画2本が引っ張る形となった。
3位は『寄生獣』の17.5億円。人間を捕食する謎の寄生生物が地球に現れるなか、右手に寄生したミギーと共生することになる高校生を主人公にした人気マンガの映画化だ。20年近く前の原作ということから、若者に興味を持ってもらおうと深夜にテレビアニメを放映中。17.5億円は大ヒットの数字だが、過去の男性向け人気マンガの2部作映画化の前編と比べると、『DEATH NOTE デスノート』が28.5億円、『GANTZ』が34.5億円だったので、やや物足りない成績だ。
同じく3位は『THE LAST −NARUTO THE MOVIE−』の17.5億円。人気マンガのラストエピソードとなる劇場用アニメ映画だ。1999年から14年11月まで15年にわたり「週刊少年ジャンプ」で連載された集大成であり、キャラクターデザインとストーリー総監修を原作者の岸本斉史自ら務めた話題性もあり大ヒットした。
5位は『アオハライド』の14億円。人気少女マンガを本田翼と東出昌大で映画化した青春ラブストーリー。中1の頃、お互いを思い合いながらも、気持ちを伝えないまま転校によって離れ離れになってしまった2人が、高校2年の春に再び出会い、止まっていた恋が動き始める。主演の2人が数多くの情報番組やバラエティ番組に出演してPRにつとめた。
なお、洋画実写作品は伸び悩み気味。人気ファンタジー映画の完結編『ホビット 決戦のゆくえ』は13億円、クリストファー・ノーラン監督のSF映画『インターステラー』は12億円と節目の10億円を超えたが、ブラッド・ピット主演の戦争映画『フューリー』は9.5億円、デビッド・フィンチャー監督のサスペンス『ゴーン・ガール』は9億円だった。(文:相良智弘/フリーライター)
[12月公開作ランキング]
1位『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』54億円
2位『ベイマックス』41億円
3位『寄生獣』17.5億円
3位『THE LAST −NARUTO THE MOVIE−』17.5億円
5位『アオハライド』14億円
(1月4日時点。ムビコレ調べ)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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