【今日は何の日】平和のありがたみを痛感…「終戦記念日」に見たい映画2選

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太陽の子
『映画 太陽の子』
(C)2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ
太陽の子
太陽の子
(C)bathysphere - To Be Continued - Ascent film - Chipangu - Frakas Productions - Pandora Film Produktion - Arte France Cinéma

8月15日は、言わずと知れた終戦記念日である。今の日本にいるとついつい平和のありがたみを忘れてしまいそうだが、今回はそれがいかに尊いことかを思い起こさせてくれる2作品をご紹介したい。

激動の時代生き抜いた若者たちに思い馳せる『映画 太陽の子』柳楽優弥×有村架純インタビュー

柳楽優弥、有村架純、三浦春馬が戦時の若者を熱演『映画 太陽の子』

まずご紹介するのは、『映画 太陽の子』。「原爆開発に成功して実用化した者が世界を制す」。そんな気運漂う時代に海軍から原爆開発の特命を受けた、京都帝国大学の研究チームにスポットを当てた作品である。子どもの頃から科学者になる事を夢見ていた京都帝大生の修(しゅう・柳楽優弥)は、研究馬鹿と言われるほど研究熱心で知られるチームの一員だ。アメリカに先んじて原爆開発を成し遂げるべく、日夜研究に勤しんでいる。出征中だが病気療養のため一時帰宅した修の弟・裕之(三浦春馬)や、2人の幼馴染みの世津(有村架純)の3人の若者を中心に、戦時下ゆえの不条理やそれぞれの登場人物の心の葛藤を描いていく。

太陽の子

『映画 太陽の子』 (C)2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

本来は文明の発展に貢献すべく科学を志したはずが、時代の歯車に飲み込まれて結果的に戦争や人殺しの片棒を担ぐような立場に追い込まれる皮肉な現実。そんな境遇に置ける科学者たちの、苦悩や迷いや苛立ちが伝わってくる作品だ。そして、一時帰宅を経て再び軍務に復帰した裕之から、片道だけの燃料を積んで機上の人となる例の任務を知らせる手紙が家族の元に届く。なんとも切ない場面である。再び出征する日、白米の大きな握り飯を持たせて送り出した母(田中裕子)の心中はいかほどであったろうか。

津田寛治が13kg減量して挑んだ『ONODA 一万夜を越えて』

次にご紹介するのは、終戦後も戦争が続いていると信じておよそ30年も孤独な奮闘を続けた陸軍兵、小野田寛郎の実体験に基づく『ONODA 一万夜を越えて』である。小野田の青年期を遠藤雄弥、壮年期を津田寛治が演じているが、津田はこの役を演じるにあたって13kgの減量を行った。「痩せてはいるがジャングル生活により筋肉はついている細マッチョ的体型」を目指して、ほとんど固形物を摂らない過酷なダイエットをしたそうだ。

『ONODA 一万夜を越えて』

『ONODA 一万夜を越えて』
(C)bathysphere – To Be Continued – Ascent film – Chipangu – Frakas Productions – Pandora Film Produktion – Arte France Cinéma

上官から、「君たちに死ぬ権利はない、何があっても生きろ」と言われてフィリピンのルバング島に送り込まれた小野田は、ジャングルの中で米軍や地元民らの攻撃から身を交わしながら、ひたすら援軍の到着や引き上げ命令を待っていた。だがそんなものは一向にやって来ず、仲間が次々と飢えや病気や銃撃に倒れ、遂に小野田1人が取り残される。終戦を迎えて、兄や父を交えた捜索隊が現地を訪れ拡声器で小野田に呼びかけるも、アメリカの傀儡政権による罠ではないかと疑って身を隠し続ける。軍人教育が染みついた小野田にとっては、上官の命令が全てなのだ。

戦争さえなければ、小野田は30年余りの歳月を違うことに費やせたはずだと思うと、なんともやるせない。それゆえ、ようやく任務を解かれる瞬間の小野田の姿には胸が熱くなる。(T)