1月24日に公開の『二重生活』。この映画を引っ提げ中国の鬼才ロウ・イエ監督が来日し、1月23日に東京大学・本郷キャンパスで行われたトークイベントに登壇した。
本作は、天安門事件を扱った『天安門、恋人たち』で映画製作・上映禁止処分を受けたロウ監督が、禁止令解除後5年ぶりに中国で製作したメロドラマ・ミステリー。経済発展が著しい武漢市を舞台に、交通事故で死亡した女子大生、彼女と最後に接触した2つの家庭を持つ男、その妻と愛人が織り成す複雑な物語がスキャンダラスに展開していく。
ロウ監督は「中国での5年間の撮影、上映禁止後の作品なので映画館で公開できてとても感慨深い」と再スタートに関して喜びのコメント。
映画については、「メイ・フォン(『天安門、恋人たち』などロウ監督とともに脚本を手掛ける盟友)と一緒に、主に日本の1970〜80年代辺りの作品を参考にしました。特に松本清張原作、野村芳太郎監督の『砂の器』などから大きな影響を受けています。これはあまり大きな声では言えませんが、中国の電影学院の学生や監督たちは、みんな海賊版DVDで日本映画を学んでいます」と話した。
この日のトークイベントには、「タモリ論」「日本のセックス」などで知られる作家の樋口毅宏氏と、中国の現代文学を研究し、中国映画にも精通する東京大学の刈間文俊教授も出席。樋口氏が「困ったことに年が明けてまだ1月ですが、もう今年のベストワンを見てしまった感じで」と絶賛すると、刈間教授も「経済的に世界第2位となった今の中国をどう描くのか、予想が付く映画はたくさんあるが、この作品は『こんな撮り方をするのか!』という驚きがありました」と語っていた。
『二重生活』は新宿K’s cinema、渋谷アップリンクほかにて公開中だ。
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