(…前編より続く)
○【4位予想】『エクソダス:神と王』
巨匠リドリー・スコット監督が、旧約聖書に記されたモーゼの奇跡を、壮大なVFXを駆使して描いた歴史物語。モーゼ役はクリスチャン・ベールがつとめる。
全米では12月に公開され、オープニング興収で約2,400万ドルを叩き出し、首位になった。過去リドリー・スコット監督作品の初週成績は『ロビン・フッド』(10年)が動員約10万人、1億円で5位、『プロメテウス』(12年)が約20万人、3億円で4位、『悪の法則』(13年)が約8万人、1億5,000万円で3位と、いずれもランクイン。上映館も約350館(公式HP参照)と確保しており、大崩れは考えづらい。
日本語吹き替え版で、主人公モーゼの妻・ツィポラ役に声優初挑戦の女優・杏を起用。俳優の東出昌大と元旦に入籍したことや、フジテレビの月9で主演をつとめるなど、メディア露出も高い。1月16日に行われた本作のイベントでは、純白のドレスで登場し、大きく報道され宣伝効果は抜群だった。ライバルは『ベイマックス』、『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』、そして同日公開の『ジョーカー・ゲーム』といったところだが、すべてを凌駕する可能性もある。
・【週末シネマリサーチ】先週は『アニー』のヒット予想が的中! 今週の大本命は亀梨和也主演作(前編)
▲【7位予想】『マエストロ!』
人気漫画家・さそうあきらの同名コミックを実写映画化。名門オーケストラの再結成をきっかけに浮上したいと思う若きバイオリニストと、謎の指揮者とのバトルを中心に「負け犬」楽団員たちの奮闘ぶりを描いた物語だ。
人気ミュージシャンmiwaが初演技を披露していることや、女優・綾瀬はるかとの熱愛報道が出た松坂桃李が主演と話題に事欠かない。イベント等のプロモーションも積極的で、昨年12月2日の完成披露試写を皮切りに、1月17日には大阪で特別試写、1月20日には東京で公開直前イベントを開催。この日は松坂が綾瀬との交際報道に対して「お友だちです」とはっきり否定。大いに報じられた。同月25日にはバイオリニストの宮本笑里が10億円のストラディバリウスで演奏するなど怒涛のプロモーションで作品の認知度を上げた。約260館と公開規模もあり、上位に食い込む余地もある。
△【10位予想】『繕い裁つ人』
池谷葵の同名人気コミックを『しあわせのパン』の三島有紀子監督で映画化。主演は実力は女優・中谷美紀。祖母から受け継いだ仕立て屋「南洋裁店」店主・市江(中谷美紀)の職人スタイルの経営方針や、それに魅せられる人々を描いたハートフルストーリー。
約30館からスタートということで、大きなヒットは厳しいものの、三島監督作品は小規模公開ながら結果を出している。47館スタートの『しあわせのパン』(12年)が動員2万人で10位、67スクリーンでスタートした『ぶどうのなみだ』(14年)が11位。固定ファンが見込めるためトップ10に入り込む可能性も十分だ。
【注目シネマ】
×『映画 深夜食堂』
深夜ドラマとしてサードシーズンまで制作された「深夜食堂」の劇場公開版。小林薫演じる「めしや」のマスターと、そこに集まる個性的なお客たちの人生を優しく描く。ドラマから映画というパターンは多いが、本作はドラマのゆったりとしたテイストを保ち、映画だからといっていたずらに大風呂敷を広げずにしんみりと人間模様を描いている。派手さはないが、良質の映画に仕上がっている。
東映配給にしては、スタート時の上映館数が少なく派手さもないが、ワタミフードサービスと提携し、1月20日から2月16日まで、映画内に登場する料理をアレンジしたメニューを期間限定で販売するなど、面白い試みを行っている。主演の小林をはじめ、多部未華子、オダギリジョー、高岡早紀ら出演陣も玄人好み。是非とも注目したい作品だ。(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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