ティム・ビーヴァン
ハリウッドのヒットプロデューサー「3傑」の手法や手腕、山あり谷ありの背景を3回に分けて解説する3回目は、ティム・ビーヴァン。イギリスを拠点に活躍するプロデューサーで、米国をはじめ世界的なヒット作を飛ばしたり、アカデミー賞で話題となる作品を生み出している。
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『マイ・ビューティフル・ランドレット』(85年)、『フォー・ウェディング』(94年)、『ノッティングヒルの恋人』(99年)『ブリジット・ジョンズの日記』(01年)など、ウィットに富んだ会話を交えたウェルメイドなラブストーリーや感動ドラマを数多くプロデュース。世界中でイギリス映画ブームを巻き起こし、ダニエル・デイ=ルイス、ヒュー・グラント、コリン・ファースらイギリス発のスターも生み出す。最近では『レ・ミゼラブル』(12年)や『博士と彼女のセオリー』(14年)などを手掛けている。
イギリスを拠点にしていることから、イギリス人映画監督と結びつきが強い。リチャード・カーティス(『ラブ・アクチュアリー』『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』)、エドガー・ライト(『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』)、ジョー・ライト(『プライドと偏見』『つぐない』『アンナ・カレーニナ』)の監督作を数多くプロデュースしている。一時期はコーエン兄弟のプロデュースにもあたり、『ファーゴ』『ビッグ・リボウスキ』『オー!ブラザー』の3本を手がける。16年公開予定のコーエン兄弟監督作『Hail, Caesar!』も久々にプロデュースしている。
彼は1983年に製作会社ワーキング・タイトル・フィルムズをサラ・ラドクリフと共同で設立した。92年、レコードメーカーのポリグラムが映画界進出にあたり、ワーキング・タイトルと提携し、製作資金をバックアップ。以降、数多くの作品をプロデュースする。その後99年にポリグラムはシーグラムに買収され、映画部門はユニバーサル・ピクチャーズと合併。ワーキング・タイトルのバックアップ企業がユニバーサルに移る。ユニバーサルの親会社はその後シーグラム→GE→コムキャストと移り変わるが、ワーキング・タイトルのバックアップは続いている。なお、サラ・ラドクリフは同社を離れ、92年からビーヴァンとエリック・フェルナーが共同で所有している。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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