「映画好き」と言われれば言われるほど、聞きづらくなるのが映画の一般常識。理解しているようでいて実はよく知らない。こっそり訊ねたら「そんなこと知らないの?」と呆れられそう。本コラムでは話題の映画ブルーレイを題材にしながら、いまさら聞けない映画の一般常識や用語についてお話していこう。
●今回のお題「デジタルリマスター (1)」
5月2日に『サウンド・オブ・ミュージック:製作50周年記念版』が発売される。ことし傘寿(80歳!)を迎えるジュリー・アンドリュースがザルツブルクを再訪した新特典映像や、6種類の日本語吹替音声を収録するなど魅力の仕上がりとなっている。
では本編映像はどうなのかというと、製作45周年を記念してデジタルリマスター化された『製作45周年記念HDニューマスター版』(2012年末発売)と同じマスター素材が使用されている。
ここでの注目点はデジタルリマスターという用語。簡単に言えば、昔の映画や音楽などを最新デジタル技術によってリマスタリングすることである。ちなみにリマスタリングとは、マスター(原盤)を再度作成することである。とりわけフィルム撮影された古い映画は、保存状態の良し悪しに限らずなんらかの画質劣化を起こしている。たとえば傷痕や塵の付着や退色などだ。音声も同様で、フィルム上に記録されたサウンドトラックやアナログマスター・テープの損傷や劣化である。(後編へ続く…)(文:堀切日出晴/オーディオ・ビジュアル評論家、オーディオ・ビジュアル・ライター)
堀切日出晴(ほりきり・ひではる)
これまでに購入した映画ディスクの総額は軽く億を超えることから、通称は「映画番長」。映画助監督という作り手としての経歴を持ち、映画作品の本質を見抜くには、AV機器を使いこなすこと、ソフトのクォリティにも目配りすることを説く。
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