(…前編から続く)
○【4位予想】『寄生獣 完結編』
岩明均の大人気コミック「寄生獣」を『STAND BY ME ドラえもん』の山崎貴監督で実写映画化した2部作の後編。人の脳に寄生するパラサイトと人間の戦いを壮大なスケールで描く。
・【週末シネマリサーチ】(前編)先週は上位4作品完全的中!『シンデレラ』や『寄生獣 完結編』はどこまで順位に食い込めるか
前編は2015年11月29日に公開。418スクリーンで封切られ週末で25万人、興収3億4000万円を記録し堂々1位を獲得した。実写化不可能だと言われて世界観をどう表現するかに注目が集まったが、公開後の反応は非常によい。2週前に公開された『ソロモンの偽証 後篇・裁判』も前篇から大幅に動員を伸ばした。
染谷将太&橋本愛という若手実力派の2人が、積極的にプロモーション稼働。4月13日に放送された日本テレビ系バラエティ番組『しゃべくり007』では私生活を赤裸々告白し話題になった他、映画の主題歌にBUMP OF CHICKEN新曲「コロニー」の起用、4月24日から行われる「Food Nations〜肉フェスTOKYO 2015 春〜」で「ミギートボール」が販売されるなど怒涛のニュースラッシュ。前作からの上積みも十分。1割増しの28〜30万人は動員したい。『ドラゴンボール〜』、『名探偵コナン〜』を凌駕するまでは厳しいが、今週公開作の中では『シンデレラ』と並び有力だ。
▲【6位予想】『龍三と七人の子分たち』
北野武監督最新作。引退したヤクザの元組長とその子分たちが、オレオレ詐欺に引っかかってしまったことから、若い首謀者たちへ復讐するさまをコミカルに描いた作品だ。
北野武監督&ワーナー/オフィス北野配給という組み合わせといえば、『アウトレイジ』シリーズ。2010年公開の『アウトレイジ』は動員10万人、続編『アウトレイジ ビヨンド』(12年)が動員20万人と大ヒットスタートを飾った。本作もジシイ版『アウトレイジ』という側面もあり、ヒットの流れを踏襲しそうな気配だ。
北野監督自身が、いくつものレギュラー番組を持っており、露出という面ではかなり強い。4月17日には試写会が行われ『電波少年コンビ』の松村邦洋、松本明子が出席。松村が得意の北野監督や、中尾彬のモノマネで『アウトレイジ ビヨンド』の名シーンを披露、同月14日に行われた完成披露試写では、平均年齢70代半ばの“ジジイ”たちが爆笑トークを展開した。約240館での公開。若い世代にどこまで刺さるかは微妙だが、15〜16万人ぐらいの動員はありそうだ。
△【7位予想】『王妃の館』
浅田次郎の同名小説を、橋本一監督×水谷豊の『相棒』コンビで実写映画化。『相棒』さながら北白川“右京”という役名も話題となった。
水谷主演と言えば大ヒットシリーズ『相棒』があるが、ここではそれ以外の作品の数字をチェック。本作と同じくベストセラー小説を映画化した『少年H』(13年・東宝)は全国307スクリーンで動員13万人の7位。『HOME 愛しの座敷わらし』(12年・東映)は、全国228スクリーンで動員4万人の10位という結果。
ほぼ全編パリでのロケ、日本映画史上初めて許可されたヴェルサイユ宮殿での撮影など見どころは多い。原作ファンが多く、実写の構成やテイストがどこまで受け入れられるかは未知数。上映館数は約250館とそろっており、『HOME 愛しの座敷わらし』以上の数字は期待できそうだが……。
【注目シネマ】
×『あの日の声を探して』
第84回アカデミー賞作品賞『アーティスト』のミシェル・アザナビシウス監督が、フレッド・ジンネマン監督の『山河遥かなり』に着想を得て製作した物語。両親を銃殺されたショックで声を出せなくなってしまった少年の視点で、戦争の悲惨さや人の無力さを描く。
4月19日に行われたトークイベントでは、本作に感銘を受けた大林宣彦監督が出席し、作品の持つメッセージ性や映画の持つ力について語った。上映館はスタート時10館程度と小規模だが、同監督・同配給の『アーティスト』(12年)は動員4万人で7位にランクインした実績がある。
(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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