癌を宣告された息子とその母親が、限られた時間のなかで行う「人生のデスクの整理」
#エマニュエル・ベルコ#カトリーヌ・ドヌーヴ#ガブリエル・サラ#セシル・ド・フランス#ブノワ・マジメル#フランス映画#愛する人に伝える言葉#映画
死を語ることで逆説的に生を描き、その尊さを見つめる感動作
癌を宣告された主人公とその母親が死と対峙していく過程を描く感動作『愛する人に伝える言葉』。本作より、確かな哲学をもって患者に向かい合うドクター・エデを演じたガブリエル・サラの本職について、そして彼が終末医療について抱く思いを紹介する。
・カトリーヌ・ドヌーヴにヴェネツィア国際映画祭名誉金獅子賞を授与
フランスを代表する名女優カトリーヌ・ドヌーヴと、本作でセザール賞最優秀主演男優賞を受賞した演技派ブノワ・マジメルの共演によるこの物語は、癌を宣告された主人公とその母親が、限られた時間のなか「人生のデスクの整理」をしながら、穏やかに死と対峙していく過程を感動的に描く。死を語ることで逆説的に生を描き、その尊さを見つめる感動作だ。
バンジャマン(ブノワ・マジメル)は人生半ばで膵臓癌を宣告され、母のクリスタル(カトリーヌ・ドヌーヴ)と共に、業界でも名医として知られるドクター・エデを訪れる。2人は彼に一縷の希望を託すのだが、エデはステージ4の膵臓癌は治せないと率直に告げる。
ショックのあまり自暴自棄になるバンジャマンにエデは、病状の緩和による生活の質を維持するために化学療法を提案し、「一緒に進みましょう」と励ます。ドクター・エデの助けを借りて、クリスタルは息子の最期を出来る限り気丈に見守ることを心に決めるのだが…。
監督は、『太陽のめざめ』(15年)でカンヌ国際映画祭のオープニングを飾ったエマニュエル・ベルコ。主人公を献身的に看病し、愛情を寄せる看護婦役には、『モンテーニュ通りのカフェ』(06年)のセシル・ド・フランス、そして主治医のドクター・エデ役に、実際に現役の癌専門医が扮しているのも話題となっている。
本作で理想的な終末医療を実施する医者ドクター・エデを演じたのは、医学博士のガブリエル・サラ。ニューヨークのマウント・サイナイ・ウェスト病院医療部の上級指導医として化学療法病棟の医長ならびに患者サービス部門の顧問を勤めている現役の医者だ。本作のストーリーはフィクションでありながらも、サラ医師が理想とする医療について彼の哲学が強く反映され、映画に登場したセリフのほとんどは、サラ医師本人の言葉を採用している。
サラ医師は「ベルコ監督のように私の考えを深く理解してくれる人が、その映画化に興味を示してくれたことは望外の喜びだった!」と語る。ガン治療において「真実を語るという点は、何があっても譲れない」との信念をもとに「私が抱いている哲学的メッセージが伝われば嬉しいと思っていた」という彼は、自分のメッセージを本作で発信できることに“天にも登る心地だった”と振り返る。
『愛する人に伝える言葉』は10月7日より全国公開される。
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