(前編)超絶にくだらなくてヤバい! 中味はまったくないけど愉快で楽しい『スポンジ・ボブ』

#元ネタ比較

『スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo!』
(C)MMXIV Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved.
『スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo!』
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無邪気でおバカなキャラクターがキュート

ヤバい! ヤバい! 想像以上に、期待以上に、綿アメのように中身がなんにもない! 約10年ぶりに映画化された『スポンジ・ボブ』の劇場版、『スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo!』が公開。超絶にくだらなくて、愉快で楽しい笑いがひたすら押し寄せてくる。なんにも考えずに、いや、なんにも考えることができなくなって、頭を空っぽにして楽しめるのだ!

[動画]『スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救WOO(う〜)!』特報

…あ、ヤバい。あんまりにも中身がないから、原稿に書くことがなくなってしまったじゃないか。仕方がない『スポンジ・ボブ』をちょっとばかり説明しておこう。アメリカの児童向けチャンネル「ニコロデオン」が誇る世界中で大人気のアニメシリーズで、日本でも2000年からNHK教育テレビなどで放送され、2015年4月からもNHK Eテレで放送されている。ただ、日本ではアニメよりも、そのビジュアルのインパクトからかキャラクター商品のほうが女子高生を中心に一人歩きしてしまっているきらいがある。

ここで懸念するのは、あのビジュアルのイメージで食わず嫌いする人もいるんじゃないかということだ。黄色くて穴だらけの四角い顔に、でっかい目ん玉に突き出た鼻、ニキビを思わせるほっぺた、そして出っ歯のすきっ歯。とびっきりの笑顔は下瞼も盛り上がっていてなんともイヤラシイ顔…。筆者も最初に見たときは、いかにもアメリカ的なキャラクターで、品が無くてかわいくな〜い! 無邪気なふりして下ネタとか言いそう〜、と思ってしまった。

でも、ご安心あれ。スポンジ・ボブは下ネタなんて言わず、ただただ無邪気で、明るくてポジティブで元気。暗い展開、荒んだシーンになってもおバカパワーで負の要素を吹き飛ばしてしまう。ひとたび見れば虜になって、あの下品に見えてた顔もキュートでかわいく見えてきて、その魅力にとりつかれてしまうのだ。

そして、『スポンジ・ボブ』の良さは、バカバカしくも面白く、誰も傷つけることのない笑いにあふれているところ。映画版でもテレビシリーズのノリそのままで、いい意味でちゃんと中身がない! こちらが求めているのは、あのいつもの笑いなのだということを作り手が理解してくれているというのが嬉しい。

海のみんなが地上に飛び出し、『テッド』の特撮工房によってCGで描かれるのが映画版のウリになっているが、それは後半で、前半は従来通りのアニメだし、後半のCGも世界観を壊すことなく、リアルになってもくだらなさは変わらはない。地上に出ても海の生物たちはご都合主義で生きていられるし、変わったことと言えば、リスのサンディが酸素を充満させたヘルメットを外すぐらい。それにCGでリアルになったスポンジ・ボブたちはこれまたキュート! あ、海賊役で“ハリウッドスター”であるアントニオ・バンデラスが出演しているのもご愛嬌。彼もスポンジ・ボブの世界に染まりきって、子ども番組仕様の海賊になりきっている。(後編へ続く…)(文:入江奈々/ライター)

『スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救Woo!』は5月16日よりTOHOシネマズ、イオンシネマにて全国公開される。

【元ネタ比較】(後編)超絶にくだらなくてヤバい! 中味はまったくないけど愉快で楽しい『スポンジ・ボブ』

入江奈々(いりえ・なな)
1968年5月12日生まれ。兵庫県神戸市出身。都内録音スタジオの映像制作部にて演出助手を経験したのち、出版業界に転身。レンタルビデオ業界誌編集部を経て、フリーランスのライター兼編集者に。さまざまな雑誌や書籍、Webサイトに携わり、映画をメインに幅広い分野で活躍中。

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