毎月26日は風呂の日。「ふ(2)ろ(6)」(風呂)と読む語呂合わせから決められた記念日で、「家族で風呂に入って親子の対話を」との思いが込められている。
日本人は風呂好きな民族で、銭湯や温泉などの共同浴場に行きたいという人も多いのではないだろうか。江戸時代に広まった銭湯は、当時の人にとって大切な地域住民のコミュニケーションや情報交換の場であり、その文化は今なお受け継がれている。今日は、そんな身も心も温まる「銭湯」を舞台にした映画を紹介したい。
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銭湯を手伝い始めたことで変わるヒロイン『わたしは光をにぎっている』
『わたしは光をにぎっている』の主人公は、20歳の澪。澪は、亡き両親の代わりに自分を育ててくれた祖母と長野県の湖畔で民宿を切り盛りしていたが、祖母の入院をきっかけに民宿をたたむこととなり、父の親友が経営する東京の銭湯「伸光湯」へ身を寄せる。
タイトルは、詩人である山村暮鳥の詩からとられており、作中では澪の祖母が大好きな詩として登場する。未来への不安を抱きながらも、自分が掴んだ“光”を信じて今を生きるという内容の詩だ。
上京して始めたスーパーの仕事では、失敗ばかりしていた澪。その後、伸光湯の手伝いを始めたことで、暗かった澪の表情が少しずつ光り輝いていく。その様子はまさに「わたしは光をにぎっている」の詩のようで、懸命に生きる姿が美しい。
澪を演じるのは、松本穂香。澪というキャラクターは松本に当て書きして作られたようで、その透明感と佇まいは本作の雰囲気にぴったり。ちょっと不器用だが、つい応援したくなるようなキャラクターになっている。
また、本作に登場する「伸光湯」は実際に清瀬市にあった銭湯がロケ地として使われており、映画の内容とリンクするかのように、現在は閉業し建物も取り壊されてしまっている。また作品の舞台である葛飾区立石も、作中の設定と同じく現在進行中で再開発が行われている場所だ。主人公・澪の物語と並行して描かれる、失われていく場所のストーリーにも注目したい。(Y)
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