(…前編より続く)
○【9位予想】『夫婦フーフー日記』
妊娠直後に悪性腫瘍が見つかった妻の闘病生活と、夫婦の奮闘をブログに綴った「がんフーフー日記」を、佐々木蔵之介、永作博美主演で実写映画化。監督は映画『わたしのハワイの歩きかた』の前田弘二。
佐々木、永作ともに、同性、異性問わず非常に人気の高い俳優。メインではないが、両人が出演している『ソロモンの偽証』は前後編ともに初週で10万人前後の動員を果たした。佐々木主演の『超高速!参勤交代』は全国251スクリーンで動員16万人という大ヒットスタートを達成。底力はある。
本作は約140館でのスタート。3月24日には完成披露イベント、5月7日には公開記念イベント、5月18日はフリーアナウンサーの高橋真麻を招いて「涙婚試写会イベント」、5月25日には、結婚20周年を迎える北斗晶&佐々木健介夫妻が公開直前イベントを行うなど“夫婦の愛”を軸にしたプロモーションを展開している。やや趣は違うが、夫の闘病生活を妻が描いた『ツレがうつになりまして。』(11年・東映)が全国222スクリーンで動員9万5000人、公開規模から考えて3〜4万人の動員を期待したい。
・【週末シネマリサーチ】(前編)園子温監督、最大規模公開『新宿スワン』で首位獲りか!
【注目シネマ】
×『誘拐の掟』
ミステリー小説「獣たちの墓」をリーアム・ニーソン主演で映画化。ニューヨークで起きた連続誘拐殺人事件解決のために立ち上がった元刑事の奮闘を描く。
日本で人気があるリーアム・ニーソン。前作の『ラン・オールナイト』(15年・ワーナー)は全国238スクリーンで動員5万人を記録。『96時間』シリーズも成功を収めている。5月19日には俳優の竹中直人とタレントおのののかによる公開記念イベントが行われ、62歳のリーアムの素晴らしさをアピールしていた。本作は約40館でのスタート。どのぐらいの数字を出すかに注目したい。
×『ピッチ・パーフェクト』
女の子だけのアカペラ部を舞台に、友情、嫉妬、プライドなどさまざまな感情をぶつけながら、ガールズたちの成長を描いた青春物語。
わずか335館からスタートした本作は、週末3日間で520万ドルを突破し、全米公開が決定。その後は世界的大ヒットを遂げ興収1億ドルを突破。続編『ピッチ・パーフェクト2』は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を抑え、全米興行成績で首位になった。日本では約30館からのスタートだが、アメリカ同様、大きな広がりが期待できる。
(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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