10月1日は香水の日。ファッションが楽しくなる秋という季節の節目に、洋服と共にぜひ香りも着替えて欲しいとの想いから日本フレグランス協会によって制定された。そこで今回は、香水の作り手である調香師をフィーチャーした映画をピックアップ。クリスチャン・ディオールの香水を手掛けた調香師が登場する2作品で、同メゾンの元調香師が主人公のフィクションと、実際のディオールの現役調香師にスポットを当てたドキュメンタリーだ。
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かつての花形調香師が表舞台から退いたワケとは?
最初の作品は、『パリの調香師 しあわせの香りを探して』だ。アンヌはかつて、ディオールの「ジャドール」をはじめ高額な報酬で様々な香水を手掛けてきた売れっ子調香師だった。だが今は、スーパーの芳香剤や猫のトイレ制作、工場の悪臭対策など“匂い”に関わる仕事はしているものの、香水作りとは無縁の日々を送っている。社交下手で愛想もイマイチ。どこか気難しい印象でとっつきにくいアンヌは、ちょくちょく利用している運転手派遣会社のドライバーたちからも不評を買っている。
ギヨームもそんなアンヌの態度に気分を害したドライバーの一人だ。上から目線での指図やドライバーの業務範囲を超える要求に腹を立て、別れ際に「命令するばかりで『ありがとう』も『お願い』もない」と捨てゼリフを吐いて走り去る。にもかかわらず、意外にも後日アンヌからギヨーム指名で仕事の依頼が来るのである。断りたいのはやまやまだが、離婚した妻との娘の共同親権を得るために職を失うわけにはいかない。そこで、渋々会社に言われるがままアンヌの元に出向くのである。
だが何気ない会話を交わしていくうちに、ギヨームは花形調香師だったアンヌが表舞台から退いた訳を知り、2人の間に仕事上の関係を超えた人間同士の心の交流が始まる。アンヌとギヨーム、そしてギヨームと娘という2つの人間関係を軸に繰り広げられるヒューマンドラマと共に、アンヌの過去の秘密とギヨームの意外な才能が開花する結末に注目だ。
現役のディオール専属調香師が明かす、香水作りの裏側
続いてご紹介するのは、クリスチャン・ディオールの専属調香師であるフランソワ・ドゥマシーに密着したドキュメンタリー映画、『NOSE 調香師 ‒ 世界で最も神秘的な仕事』だ。映像は、ドゥマシーが3日間かけてインドネシアの山奥のパチョリ畑を訪れる所から始まる。調香師というと、研究室のようなところでおびただしい試験官やビーカーに囲まれて香料を調合している様子を想像するが、ドゥマシーは香料の産地を実際に訪れ、原料に触れたり嗅いだり生産者と交流したりすることに多大なる時間を割いていることに驚く。
この作品では、調香師のみではなく香料の原料となる草花を育てている有機農家などにも大々的にスポットを当てている。世界各国の香料の産地の映像がふんだんに盛り込まれ、センスの良いBGMと相まってイメージビデオを見ているような感覚を覚える作品だ。香水という枠を超えて、香りの創作者である調香師が語る「人間にとって香りとは?」という概念についての哲学的金言も興味深い。(T)
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