先週末から公開中の『トイレのピエタ』。この映画については、当コラムでも4月に「話題作が続々公開! 音楽と映画を自由に行き来する新世代のミュージシャンたち」というテキストの中で少し触れたし、主演の野田洋次郎(RADWIMPS)のインタビューもムビコレに掲載中だ。
手塚治虫の最晩年のアイディアを原案としていること、そして主演に役者経験のないミュージシャンの野田が起用されていることで公開前から大きな話題になっていた『トイレのピエタ』だが、「死期の迫った男がトイレの天井にピエタ(絶命後に十字架から下ろされたイエスを抱く聖母マリアをモチーフとした絵や彫刻)を描く」という着想は、それだけで多くの人の興味を引きつけるし、その男を人気バンドであるRADWIMPSのフロントマンが演じるとなれば、手塚治虫のファンもRADWIMPSのファンも(両方のファンという人がいれば、その人たちも)見ないわけにはいかないだろう。
監督はゴスペル音楽と日本人の関係を題材にした『GOSPEL』や、性同一性障害の日本人芸術家を追った『ピュ〜ぴる』といったドキュメンタリーを手がけてきた松永大司。野田以外のキャストには大竹しのぶや宮沢りえ、リリー・フランキーといったベテラン勢が起用されているが、大竹と宮沢はRADWIMPSのファンということもあって、本作への出演を快諾したという。そしてヒロインの真衣役には17歳の杉咲花が抜擢された。野田の演じる宏の心を大きく揺さぶるミューズとして、絶対的な存在感と吸引力を見せつけている。(後編へ続く…)(文:伊藤隆剛/ライター)
・【映画を聴く】RADWIMPS・野田洋次郎が“自分の一部”を差し出した『トイレのピエタ』とその主題歌「ピクニック」/後編
伊藤隆剛(いとう りゅうごう)
ライター時々エディター。出版社、広告制作会社を経て、2013年よりフリー。ボブ・ディランの饒舌さ、モータウンの品質安定ぶり、ジョージ・ハリスンの趣味性、モーズ・アリソンの脱力加減、細野晴臣の来る者を拒まない寛容さ、大瀧詠一の大きな史観、ハーマンズ・ハーミッツの脳天気さ、アズテック・カメラの青さ、渋谷系の節操のなさ、スチャダラパーの“それってどうなの?”的視点を糧に、音楽/映画/オーディオビジュアル/ライフスタイル/書籍にまつわる記事を日々専門誌やウェブサイトに寄稿している。1973年生まれ。名古屋在住。
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・[動画]『トイレのピエタ』予告編
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