『ドライブ・マイ・カー』濱口監督に続け! 日本の新たな才能を見いだす特別企画も
アジア最大の映画祭、釜山国際映画祭がいよいよ10月5日より開催される。
近年は新型コロナウイルスの感染拡大によりオンラインや座席数を制限して開催されてきたが、27回目を迎える今年は3年ぶりに従来通りの開催となる。公式招待作品は71ヵ国から242作品。5日、釜山・海雲台にある “映画の殿堂”で、俳優リュ・ジュンヨルとチョン・ヨビンの司会により行われるオープニングセレモニーを皮切りに、釜山市内7つの劇場30スクリーンで連日上映が行われる。
今年はクロージング作品に妻夫木聡主演『ある男』(石川慶監督/11月18日公開)が決定。また『キングダム2 遥かなる大地へ』(佐藤信介監督)、『今夜、世界からこの恋が消えても』(三木孝浩監督)が「オープンシネマ部門」にて、是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』が「アイコン」部門にて上映予定。また田中裕子主演『千夜、一夜』(久保田直監督/10月7日公開)が、アジアの新しい作品を発掘するコンペティション部門「ニューカレンツ」に正式招待され、この部門の審査員には俳優の加瀬亮も名を連ねている。例年、釜山国際映画祭には日本からも多くの参加があるが、今年はより顕著な印象がある。
・地味で、映画らしい映画だったから出演したいと思った『千夜、一夜』尾野真千子インタビュー
特に、今年のスペシャルプログラムでは、「Discovering New Japanese Cinema」と題し、2010年以後デビューした新しい日本監督を紹介する特集上映が行われる。ラインナップは、第25回釜山国際映画祭でニューカレンツアワードを受賞した『由宇子の天秤』(春本雄二郎監督)をはじめ、『螺旋銀河』(草野なつか監督)、『ひかりの歌』(杉田協士監督)、『マイスモールランド』(川和田恵真監督)、『わたしたちの家』(清原惟監督)、『僕の帰る場所』(藤元明緒監督)、『岬の兄妹』(片山慎三監督)、『ケイコ 目を澄ませて』(三宅唱監督)、『泳ぎすぎた夜』(五十嵐耕平&ダミアン・マニヴェル監督)、『三度目の、正直』(野原位監督)の10作品。
映画祭側は「濱口竜介監督世代に続く新進気鋭の日本人監督と、日本映画の現在の方向性をよりよく評価する、重要な機会となる」とコメント。なお上映時にはGV(監督などによる登壇)が予定されており、10月9日の『ケイコ 目を澄ませて』上映では三宅唱監督と岸井ゆきのに加え、日本でも大人気のシム・ウンギョンがゲスト登壇するスペシャルトークも発表されている。気鋭の監督たちによる日本映画が観客にどう受け取られるか注目したい。
また、今年は「アクターズハウス」と題し、カン・ドンウォン、イ・ヨンエ、ハ・ジョンウ、ハン・ジミンが日替わりで登場。自らの演技や作品について語る、映画ファン垂涎のトークイベントも実施される。有料開催だが、収益金全額は国際児童救援機構「セーブ・ザ・チルドレン」に寄付されるという。映画祭が担うべき役割にも改めて気づかされる。これまでも映画祭期間中には、韓国の名立たる監督や俳優が挙って釜山を訪れ、上映後のGVやオープントークと題されたイベントなどに参加。韓国の観客からの質問に熱心に答えるなど、映画人も観客もその交流を楽しむ姿が見受けられた。コロナ禍を経て、通常開催となる今年の釜山映画祭では、久しぶりにその光景が多くみられるに違いない。
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