(…前編より続く)
○【2位予想】『バケモノの子』
『おおかみこどもの雨と雪』の細田守監督、3年ぶりの新作アニメーション映画。渋谷の街と、その対として存在するバケモノの住む「渋天街(じゅうてんがい)」を行き来する少年と師匠となるバケモノ・熊徹との交流を描いた家族の物語。声優陣も豪華で、役所広司、大泉洋、リリー・フランキー、宮崎あおい、染谷将太、広瀬すずなどが顔を揃える。
日本テレビ&東宝。本作公開を前後し、細田守作品を「金曜ロードSHOW!」で3週連続放送。ジブリ作品並みの力の入れ具合がすごい。その根拠となるのが、作品の成長度だろう。『時をかける少女』(06年)は公開当初約20館での上映だったが、口コミで広がり、最終的には動員18万人を記録。『サマーウォーズ』(09年)は全国127スクリーンで公開され、初週で動員10万人、そして前作『おおかみこどもの雨と雪』(12年)は、全国381スクリーンで初週27万6000人を記録し、総計で動員340万人、興収42億円の大ヒットとなった。
本作も350館を超える映画館で上映。過去の実績から、細田作品はアニメファンならずとも注目される存在になった。設定は奇抜だが、テーマは普遍的な“家族の絆”。老若男女問わず多くの世代に刺さる。30〜40万人の動員は死守したいところか。
・【週末シネマリサーチ】(前編)爆裂『アベンジャーズ〜』に挑む『ターミネーター』&『バケモノの子』! 果たして首位は!?
▲【8位予想】『アリのままでいたい』
昆虫写真家・栗林慧が撮影監督をつとめたドキュメンタリー映画。栗林が開発した独自カメラを駆使し、昆虫たちのクローズアップ撮影が3Dで楽しめる。
夏休み映画としては異色の作品だが、注目度は高い。主題歌は福山雅治の「蜜柑色の夏休み」2015年バージョン。ナレーションをDAIGO、吉田羊、杉咲花ら話題の人物がつとめる。6月20日に行われた特別試写会では、秋篠宮同妃両殿下と悠仁親王殿下が本作を鑑賞。昆虫たちのダイナミックな姿に熱中する悠仁さまの様子が報道された。
初日舞台挨拶には、DAIGO、吉田羊、杉咲花が登壇予定のほか、俳優の哀川翔が飼育したカブトムシ200匹を、中学生までの子どもたちを対象にプレゼント(希望者のみ)するという面白い企画も催される。ネイチャードキュメンタリーというジャンルがどこまで訴求するかは未知数だが、トップ10に入るだけの“面白み”はそろった。
△【10位予想】『リアル鬼ごっこ』
これまで数々のメディアミックス展開された山田悠介のベストセラー小説「リアル鬼ごっこ」が園子温監督によって映画化。トリプルヒロインを、トリンドル玲奈、篠田麻里子、真野恵里菜がつとめる。
これまで5作品が劇場公開された『リアル鬼ごっこ』。過去作品との関連性はなく、比較することにあまり意味はないが、07年に公開された『リアル鬼ごっこ』(ファントムフィルム)は、初週動員数11位。2週目以降に劇場公開数が増えてトップ10に食い込んだ。
本作は約100館での公開。脚本は、「鬼ごっこ」という言葉にインスピレーションを受けた園監督の完全オリジナル。園子温、トリンドル玲奈、篠田麻里子、真野恵里菜というキーワードでどのぐらいの集客が見込めるか、注目したい。
【注目シネマ】
×『悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY of 乃木坂46』
2012年に「AKB48の公式ライバル」として結成された乃木坂46の3年間の軌跡に迫ったドキュメンタリー映画。メンバーたちの素顔や、母親を通して語られるそれぞれの素顔などがリアルに表現されている。
劇場公開数は約45館。「AKB48」グループのドキュメンタリー映画はこれまで数本公開されてきたが、やや毛色の違う“乃木坂”ファンがどういう動きを見せるのかは気になるところだ。
(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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