名優ジュディ・デンチが『ザ・クラウン』に苦言「歴史的精度と下品な煽りが曖昧に」

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ザ・クラウン
『ザ・クラウン』

各エピソードにフィクションであると明記すべき

デイムの称号を持つ名優ジュディ・デンチが、11月から配信されるNetflixのシリーズ『ザ・クラウン』シーズン5について、イギリスの「ザ・タイムズ」紙に公開書簡を送った。

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同シリーズについては、イギリスのジョン・メジャー元首相が17日(現地時間)付の「ガーディアン」紙でその内容を批判したが、デンチの書簡は「『ザ・クラウン』が不正確で人を傷づける歴史を提示するのではないかと懸念するのはサー・ジョン・メジャーだけではありません」という言葉で始まる。

「このドラマは現代に近づけば近づくほど、歴史的精度と下品なセンセーショナリズムの境界線を曖昧にしているようです。
多くの人々が『ザ・クラウン』は素晴らしい作品でありフィクションであることを認めていますが、あまりにも多くの視聴者、特に海外の視聴者は、そこで描かれる歴史を真実のものだと受け取ってしまうかもしれません」

『ザ・クラウン』シーズン5は20日にトレイラーを発表した。1990年代のイギリス王室を舞台にチャールズ皇太子(ドミニク・ウェスト)とダイアナ妃(エリザベス・デビッキ)の離婚についてなどが描かれるが、デンチはそれとは別の具体的な例を挙げている。

「新シリーズには中傷のような示唆……例えばチャールズ王が母親の退位を画策したり、母親の子育てが不十分で実刑に値すると話した……が含まれているようですが、どちらもお2人にとって残酷なほど不当であり、彼らが代表する組織(注:王室)にとってもダメージになります。私ほど芸術の自由を信じる者はおりませんが、このようなことを見過ごすわけにはいきません。今週、『ザ・クラウン』はフィクションのドラマであると公に発表したにもかかわらず、製作側は各エピソードの冒頭に(フィクションであるという)注意書きを入れてほしいという声に抵抗してきました」

デンチはさらに「Netflixは考え直すべき時が来たのです」と続ける。「(君主を)亡くした家族と国のために、70年間も国民に忠実に仕えた君主への敬意を表し、そしてイギリスの会員からの評価を保つために」

11月9日からNetflixで配信が始まる『ザ・クラウン』シーズン5では、今年9月に亡くなったエリザベス女王をイメルダ・スタウントン、フィリップ殿下をジョナサン・プライス、女王の妹・マーガレット王女をレスリー・マンヴィルが演じる。