10代には定番となったボカロ曲を初実写化
10代のカラオケ・ランキングで上位を占めるだけでなく、トップ10の半数以上にランクインしているのは・・・? セカオワ? 西野カナ? J Soul Brothers? そんなTVに出ている生身の人間を思い浮かべたオジサン・オバサン! オワッテル! プギャ――m9(^Д^)――!!
10代が魅了されているのはTVのアーティストではない、ボカロことVOCALOIDだ。ボカロもはや、ヲタク=一部のファンだけが熱狂しているわけじゃない。若者たちはTVの音楽番組よりも動画サイトのボカロ動画や、“歌い手”さんや“踊り手”さんと呼ばれる動画職人の“歌ってみた”“踊ってみた”に夢中になっている。
なかでもボカロの代名詞的な存在である初音ミクの音源を使用した楽曲の人気は依然として根強く、ミクの「千本桜」と共に10代カラオケ・ランキングに常時上位ランクインしているのは初音ミクとGUMIことMegpoidの音源を使用した「脳漿炸裂ガール」だ。
「Mr.Music」などで知られる、れるりり作詞作曲による同楽曲は2012年にニコニコ動画にアップされるや5ヵ月で再生数が150万回を記録し、“歌ってみた”“踊ってみた”“弾いてみた”“みなぎってみた”と続々と反響動画がアップされて、関連動画の総再生回数は4000万回を突破と驚異的な数字を打ち出し、いまもなお更新している。中高生の人気はとどまることを知らず、筆者の近隣の中学校ではお昼の放送でヘビロテでかかる始末。
おそらく先生たちは歌詞を聞き取れていないのだろう。そうでなければ、“結局♂♀(オスメス)凹凸擦って気持ち良くなりたいだけなら その棒のようなもので私を殴って”と歌われるなかで、普段厳しく生活指導している生徒たちに給食を食べさせるという失態を演じることもないだろう。
そう、「脳漿炸裂ガール」は歌詞が聞き取れないほど速いのだ。「千本桜」は素人でもある程度歌いやすいロック調だが、「脳漿〜」アップテンポのジャジーな曲調で、言葉の羅列であったり、意味がわかるようなわからないような歌詞を、ボカロ特有の息継ぎなしの早口でまくしたてるように歌われる。生身の人間が歌うと呼吸困難になりそうな難易度の高さがまた、挑戦してみたい欲求を駆り立てられて若い世代が熱狂するのだろう。そして今回、そんな“ネ申”曲が、ボカロ史上初、実写映画化されたのだ。(中編へ続く…)(文:入江奈々/ライター)
・【元ネタ比較】(中編)“歌ってみた”で大ブレイクのネ申ボカロ曲の実写化を“見てみた”『脳漿炸裂ガール』
・【元ネタ比較】(後編)“歌ってみた”で大ブレイクのネ申ボカロ曲の実写化を“見てみた”『脳漿炸裂ガール』
『脳漿炸裂ガール』は7月25日より全国公開される。
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