(…前編より続く)
○【7位予想】『ピース オブ ケイク』
ジョージ朝倉の人気コミックを、俳優の田口トモロヲがメガホンを執り、多部未華子、綾野剛を迎えて実写映画化。主人公女性の揺れる思いや、流されそうな心の機微を繊細に描く。
綾野、多部ともに主演をつとめるだけの実力を持っている。綾野主演の『新宿スワン』(15年/ソニーピクチャーズ)は初週動員17万5000人、興収2億5000万で初登場1位。少し古くなるが、多部主演の『君に届け』(10年/東宝)も三浦春馬との共演で動員19万人、興収2億3000万を記録した。
本作は約150館でのスタート。上記作品とは公開規模が違うため、大きな数字にはならないだろうが、多部、綾野以外にも、松坂桃李、木村文乃、菅田将暉、光宗薫などファンを呼べそうなキャストが集結。9月1日には「公開直前“愛を叫ぼう!”ライブ付イベント」が行われ、多部と綾野のキスシーンの感想が大きな話題を呼ぶと同時に、同日から期間限定で綾野と多部のドキッとするような距離感の巨大交通広告も原宿駅に掲出されるなど、徹底的な「LOVE」訴求も効果的だ。5〜6万の集客に期待だ。
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△【10位予想】『映画 みんな!エスパーだよ!』
若杉公徳の人気コミックを園子温監督がテレビドラマ化した「みんな!エスパーだよ!」の劇場公開版。童貞のエスパー・鴨川嘉郎を染谷将太、嘉郎が憧れるヒロイン・浅見紗英役を真野恵里菜がつとめるなど、ドラマ版のメンバーが多数続投し、世界観は継続されている。
怒涛の公開ラッシュが続く園監督作品。『新宿スワン』は『ピース オブ ケイク』の欄で記したが、『リアル鬼ごっこ』(15年/松竹・アスミック)も小規模公開ながら11位に健闘。
劇場公開数は80館前後。ドラマ版も下ネタ満載で話題になっていたが、劇場版はさらに“過激”との触れ込み。「パンチラ」特報もネットメディアでは軒並み高い再生回数を記録。注目度、話題性ともに十分だ。
【注目シネマ】
×『猫侍 南の島へ行く』
テレビドラマ「猫侍」シリーズの劇場公開版第2弾。北村一輝扮する強面浪人と、白猫との奇妙なやりとりが大きな話題になっている。
とにかくかわいい白猫と、笑わない侍との対比が反響を呼び、本作は約90館でのスタートとなった。8月17日には白猫・玉之丞の写真集「玉之丞とゆかいな仲間たち」が発売。9月1日には「猫侍ぱんち 〜白猫騒動〜」として漫画化されることも決定するなど、無尽蔵の広がりをみせる。こういった展開がどこまで集客に結びつくのか、その動向が気になる。(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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