タイトルからして興味をひかれる『私たちのハァハァ』は、松居大悟監督の今年2作目となる劇場長編映画。1月に公開された『ワンダフルワールドエンド』は、シンガー・ソングライター、大森靖子の楽曲「ミッドナイト清純異性交遊」「君と映画」のMV(松居監督はこのMVの監督も担当)を基に作られた作品で、当コラムでも大森靖子にフォーカスした記事をお届けしているが(https://www.moviecollection.jp/wp/news/detail.html?p=7818)、今回は同じく松居監督がPVを手がけるなど交流の深いバンド、クリープハイプに夢中の女子高生4人組を主人公にした青春ロードムービーだ。
福岡の片田舎に住むチエ(真山朔)、さっつん(大関れいか)、文子(三浦透子)、一ノ瀬(井上苑子)の4人は、福岡のライヴ後、バンドに「東京のライヴにもぜひ」と言われたことを真に受けて、自転車で上京することを決意。自分たちでカメラを回して、その道中を記録しながら本州に上陸するが、自転車は早々にパンク。ヒッチハイクでなんとか神戸までたどり着いたものの、お金がなくなり、4人のチームワークにも亀裂が生じる。
自撮りの映像や彼女たちの言葉、しぐさがあまりに自然体なので、ぱっと見、本作がドキュメンタリーだと思う人も少なくないと思うが、実際は松居監督が用意した脚本をベースにしたフィクションだ。ただし、監督は彼女たち4人が集まったことで生まれた独特の空気感を尊重して、臨機応変に物語の流れを変更しているという。
4人のうち、文子役の三浦透子以外の3人は演技未経験。さっつん役の大関れいかは6秒のループ動画を投稿できるアプリ「Vine」で50万人以上のフォロワーを持つ現役専門学校生。一ノ瀬役の井上苑子は“SNS世代中高生支持率No.1”という触れ込みで7月にメジャーデビューしたばかりのシンガー・ソングライター。チエ役の真山朔は唯一オーディションで選ばれているが、映画出演は今回が初。2013年の「ミスiD2014」ではファイナリストまで残り、個人賞・山崎まどか賞を受賞している。
ムードメーカーでありリーダーシップのあるさっつん、東京への憧れの強い歌手志望の一ノ瀬、クリープハイプへの思い入れが一番強い文子、クリープはそんなに好きじゃないけど、みんなで楽しくやれればそれでいいチエ。4人それぞれが自分に与えられた役を飲み込み、等身大の演技でぶつかることで、この4人でしか得られないリアリティを生み出している。(後編へ続く…)
・【映画を聴く】(後編)見ている方まで“ハァハァ”必至! 女子高生4人による青春ロードムービー『私たちのハァハァ』
『私たちのハァハァ』は9月12日より全国公開。
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