BL傑作小説を小宮璃央と井上想良の主演で実写化『永遠の昨日』
MBSのドラマシャワー枠とKADOKAWAが手掛けるBLドラマレーベル・トゥンクのコラボ企画第4弾として制作された『永遠の昨日』が放送中で、ついに今週、最終話となる第8話の放送を迎える。
・ジャニーズJr.同士でW主演のBLが佳境に、エモくて可愛いくてたまらない!
本ドラマは交通事故に遭ってしまった高校生の浩一と同級生の満が心を通わせ、生と性を見つめて懸命に“生きた”2人の姿を描いた同名のBL小説が原作。原作者の榎田尤利は「交渉人」シリーズなど多くのBL小説を手がけており、榎田ユウリ名義では一般書籍も発表し、中村明日美子との共著「先生のおとりよせ」が向井理主演でドラマ化されたことは記憶に新しい。
“泣かせる作家”としても定評のある榎田尤利の作品のなかでも、「永遠の昨日」は“むせび泣かせる名作”として長きにわたって読みつがれてきた。そんな同作の実写化のキャストは陽キャでクラスの人気者の浩一役を、同じくトゥンクの『高良くんと天城くん』にも出演した小宮璃央、医者の息子で秀才の満役を『明日、私は誰かのカノジョ』などの井上想良が演じる。
2人が醸し出す切なさに心が鷲掴みにされる
正直言って最初はガタイのいいバスケ部員の浩一と華奢で無愛想な満のイメージと2人とも違う気がして、「せめて逆では?」と思ったりもしたが、話数が進むに連れてしっくりと馴染んでいった。爽やかな笑顔で浩一を演じる小宮は浩一のあっけらかんとした雰囲気があるし、もったりと重たい前髪の井上が演じる満は内向的でどこか近寄りがたいオーラがある。そして、なんといっても2人ともそれぞれ違った切なさを感じさせて、見る者の心を鷲掴みにするのだ。
前述したように浩一は交通事故に遭い、物語の序盤でそれはそれはあっけなく死体となってしまう。しかし、浩一は動いてしゃべり、まるで生きているように生活をする。不思議な話でホラーやオカルトとしても通用する内容だけど、怖いことはなくて逆にちょっと滑稽なおかしみさえある。
悲しみを受け入れる心の作業を丁寧に描く
でも、そんななかに急に切なさがドッと襲いかかってくるのが本作の肝。浩一の死はじわじわと少しずつ忍び寄ってくる。それを実感して受け入れることができずに葛藤している満を見ているとこちらまで辛くなる。浩一は浩一で、自分が満のいるこの世から去ることを覚っていて、それでも満のことが大好きで、満の未来の幸せを願っているようすに涙が止まらなくなる。浩一がネガティブな面などなさそうなキャラクターだからこそ屈託のない笑顔が余計に切なくさせるのだ。
親しい者の死はとてつもなく悲しくて、遅かれ早かれ誰でも避けて通れるものではない。ファンタジーという形式をとりながら、その悲しみを受け入れる作業を描いているところに普遍性があり、原作はこれだけ長く愛されているんじゃないだろうか。ドラマではどんなラストを見せてくれるのか、ハンカチ(大判の)を片手に見守りたいと思う。(文:牧島史佳/BLライター)
ドラマシャワー『永遠の昨日』(全8話)は下記にて放送中。
MBS/毎週木曜25:20~、テレビ神奈川/毎週木曜25:00~、群馬テレビ/毎週火曜24:30~、とちテレ/毎週水曜25:00~、テレ玉/毎週木曜23:00~、チバテレ/毎週木曜23:00~、ほか
※Huluにて見放題独占配信
※TVer、MBS動画イズム、GYAO!で見逃し配信1週間あり
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